第二十三話 野心その一
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第二十三話 野心
セーラは祖国から連れて来た側近達からマリーの話を聞いてだ、当然といった面持ちで頷いた。そのうえで彼等に言った。
「あの方ならばです」
「はい、至極ですね」
「当然のことですね」
「大学を増やされ様々な学問を学ぶ様に思われることも」
「図書館についても」
「あの方はそうした方です」
落ち着いた声で言うのだった。
「広く先の先を常に見られて」
「考え動かれる」
「そうした方ですね」
「それでいて寛容で慈悲の心もお持ちです」
長く共にいただけにマリーのことがよくわかっていた、そしてそうであるからこそこうも言った。
「ただ、お望みは」
「決してですね」
「高くはない」
「そうした方ですね」
「玉座は必要とあらばと思われていても」
そこに座ることはだ。
「然程です」
「そのお気持ちは強くない」
「決して」
「そうした方ですね」
「そちらについては」
「無欲なのです」
多くのことについてとだ、セーラは話した。
「非常に」
「そうでしたね、ご幼少の頃から」
「あの方は多くを求められません」
「お食事もお住まいも」
「非常に質素であられます」
「修道女にも近い」
こうも話したセーラだった。
「そうした趣の方です」
「では玉座も」
「継承権は第一ですが」
「それでもですか」
「おそらくです」
セーラはその目の光を確かにさせて話した。
「マイラ姉様をお立てになられ」
「ご自身の姉君であるあの方を」
「そうされてですね」
「ご自身は」
「そうされますか」
「そう思います」
側近達に自身の読みを話した。
「あの方ならば、若しくは」
「北の王国の太子ですね」
「あの方を養子に迎えられていますが」
「あの方をですね」
「立てられますね」
「共に玉座に座れられるでしょう」
協同統治者だ、この国でも帝国でも東方の異宗派の国家達でも比較的よく見られる事例である。それも古くから。
「あの方は」
「ですか」
「そうされますか」
「ではあの国の次の主は」
「マイラ姉様でしょう」
彼女になるというのだ。
「マリー姉様が譲られ、ただ」
「ただ?」
「ただといいますと」
「マイラ姉様は」
セーラは彼女についても言及した。
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