鼠に好かれるアラサーの私
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な話をしているのであって、これにはあまり深く関わらないようにするのがよいだろう。
「……ん、もう会議か」
時刻は16時。噴水広場にはもう既にプレイヤーが集まっていた。
「どうするアルゴ。アルゴは参加する?」
「いや、オイラは終わるまでここで待ってるヨ」
つまりなんだ、宿まで付いてくる気か? 別にいいけど。
「そう。それじゃあ、キリトにアスナ」
「……そうだな、行こうか」
「――! ちょっと待って!」
それはキリトに向けたものではなく、私に向けたものだった。
はて、私が何かしただろうか。
「わたし、あなたに名前を教えた覚えないんだけど。どこで知ったの?」
「―――ああ」
なるほど、そういう事か。
「自分の左上に、君が知りたがっている事が表示されているよ。ああ、顔を動かすのではなくて、眼球だけを動かすんだ」
「え……こ、こう?」
ぎこちなく動いた双眼は、やがて求めていた答えを確認した。
「き……り……と。キリト? それと、T、I、G?」
「そう書いてティグと読む」
実は、迷宮区を出てアスナが起きた後、アスナにパーティの申請をしておいたのだ。ほらあれだよ。こんなに強いのに、死なれたら困るんだよね。攻略のスピードも遅くなるだろうしそれに、まだアスナは子供であって、やりたい事はいっぱいあるはずだ。庇護欲。それが私を駆り立てたのだ。アスナにそう言うと、渋々了承してくれた。今度何かお礼をしなければ。
あ、ちなみに元ネタはTIG溶接である。
「なぁんだ……こんなところに、ずっと――」
「おーイ。誰か忘れてないカナー?」
「ヘ!?」
突然の知らない声にビックリしたのか、少女アスナは、可愛らしい声を上げて身体を震わせた。
「あ、ご、ごめんなさい。見えなくて……」
「ああ、確かに無理ないな。小さいしな」
「それはどういう事ダー!」
「そのまんまだよ。フフ」
私は口を押さえて笑った。
「ムー……んん。オイラはアルゴ。情報屋をやってて、《鼠のアルゴ》って呼ばれたりしてるヨ。よろしくネ、アーちゃん」
「あ、あー、ちゃん……?」
アスナが自分よりも明らかに年下アルゴからの呼び名に驚いていると、
「あ、もう始まっちゃってるぞ」
というキリトの声にハッとした私とアスナは、先を行くキリトを追いかけた。
アルゴは大人しくベンチに座り、またゴッテリクリームパンを食べ始めた。
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