鼠に好かれるアラサーの私
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止まり、言った。
「……さっきのは、オーバーキルすぎるよ」
あの後、キリトと少女の話を、疲れたので座りながらボーッと聞いていると、少女は崩れ落ちた。それはどこからか麻痺攻撃を受けた為とかではなくて、ただ単純に眠っただけであった。まあ確かに、三日か四日か、どちらにしろそれ程の期間迷宮区に篭って戦い続けていては、疲労は尋常じゃない程蓄積する事だろう。
しかし、ああもまあ自然的に話の途中で眠りにつくとは………ああいった場面は小説でよく見るが、現実で見たのは初めてだ。まあここは一応現実ではなく仮想だけど。いや仮想と言っても舞台が違うだけで、現実も同然だけども。
そして今、《トールバーナ》の町に入った。【INNER AREA】の文字が、視界に表示される。圏内に入った証拠である。キリトは少女に、《第1層フロアボス攻略会議》が16時に行われるという旨を伝えた。少女はそれを聞くと、すぐ去っていった。
「妙な女だよナ」
背後から聞き覚えのある声がして、振り返ると誰もいなかった。いや、その声の発生源が小さくて、私の視界に入らなかっただけだった。
下を見ると、予想通り《鼠のアルゴ》がいた。
「……すぐにでも死にそうなのに、死なナイ。どう見てもネトゲ素人なのに、技は恐ろしく切れル。何者なのかネ」
「知らん」
私は適当に返した。
「……ムー、何だか冷たいゾ。ティグ」
「私は早く宿に戻ってシャワーを浴びたいんだよ……」
あと腹拵え。お腹すいた。
「知ってるのか、あのフェンサーの事」
私の腰周りに抱きつくアルゴに、その光景を見て苦笑したキリトが訊ねた。
するとアルゴは五本指を立てて、
「安くしとくヨ。500コル」
笑うアルゴの?にある三本の髭ペイントを撫でる。ふむ、あまり凸凹はしていないんだな。
キリトは仏頂面で、
「女の子の情報を売り買いするのは気が引けるんで、遠慮しとく」
と応じた。
アルゴは私の胸に顔をうずめながら、
「にふぃふぃ、いいふぉふぉろふぁふぇふぁふぁ」
と言った。
「顔を胸から離せ」
取り敢えずアルゴの後頭部にチョップを放った。
アルゴが来た理由は、キリトが持つ片手直剣《アニールブレード+6(3S3D)》の取引だった。アルゴを仲介とし、キリトの剣を買いたいという輩がいるそうで、アルゴはその件で結構前からキリトに会いに来ている。あと私にも。何故これ程懐かれたのか。それはある日、私が森でレベリングしていると、Mobに囲まれて万事休すのところのアルゴを、私が助けたのが切っ掛けだった。
まあ人の命を助けられたのはよかったが、このような展開が待ち構えていたとは流石に予想外だった。
にしても会う度会う度
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