鼠に好かれるアラサーの私
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
カーソルが表示されていないという事はつまり、そういう事なのだろう。
自分は《隠蔽》して高みの見物か。いいご身分だ。
「《隠蔽》だな――けど、こいつらにそれは通じないぞ!」
と、どこかで人間による悲痛な叫び声が。この声は、コペルによるものだ。
「……やられたみたいだな」
「因果応報、自業自得さ。全てあいつの行動によるものだよ」
裏切り者は死すべし。
親にそう教えられた事があった。
「……悲しんでいる暇はないよ、キリト」
「そうだな、こいつらから逃げないと」
周りは既に囲まれていた。八方塞がりってやつだ。
「よし、あの囲いが薄くなっているところを攻めよう」
私はそう言うと、伸びをする。
「ん―――っは」
疲れがちょっとだけ軽くなったみたい。
「じゃ、キリト」
「うん」
私とキリトは、一斉に走り出した。
「あ、《花付き》発見」
「役に立っちゃったのかよ……」
結果。
逃げ切れた。そして、クエスト達成。やったね。
やっとの事で手に入れたアニールブレードは、何処と無く輝いて見えた。
リトルネペント総攻撃から、約一ヶ月。
なんだかんだグダグダと関係を続けたせいで、妙な信頼関係が出来てしまった。私の中に《関係を絶つ》という選択肢は、いつの間にやら無くなっていた。
うーむ。やはりアレだろうか。ネット上で、性別を変える事ができて、しかもアバターで姿形がどうにでもなるから、いまいち人を信用できずにいたが、しかし茅場によって現実の姿になってしまった事によって、ネット上でも人を信用できるようになった。表情も偽りではないし、真偽もはっきりと見抜く事ができる。それどころか、信頼関係までできてしまった。おいおいマジかよ27歳、中学生と関係作っちゃっていいのか?
さておき、現在キリトと迷宮区を攻略中である。流石に2人という少人数で迷宮区を攻略できるとはとても思えないが、マップデータぐらいは獲得できるだろう。
今現在、私はキリト共々Lv.9である。あと2レベル上がれば、この階層の安全マージンがとれる。
「――お、上がった」
「私も」
ほぼ同じタイミングでLv.10に上がった私とキリト。「はぁ」と一息ついた。
そこで聞こえてきたのは、剣戟によって発生した甲高い音だった。
その方を見ると、フードが付いた厚手のケープを纏ったフェンサーが一人、Mobの《ルインコボルド・トルーパー》を《リニアー》でもって爆散させた。
先程のやつ、HPが残り僅かで、ほんの少し攻撃すれば倒せていた。これは明らかにオーバーキルである。
そう思っているとキリトも同んなじ考えだったのか、フェンサーの少女の方へ歩き、およそ2メートル地点で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ