鼠に好かれるアラサーの私
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それにしても、その《実付き》は《MPK》とかいうのには最適だな、なんてリトルネペントを倒しながら思っていると、不意に後ろから声がした。
「ねえ、君達。よかったら僕も一緒にクエストやってもいいかな?」
この声からして、そいつは恐らく青年なのだろうと思い振り返ると、想像通り青年がこちら側に歩いてきた。
キリトはその青年を一瞥すると、相手していたリトルネペントに向き直り、
「……ああ、いいぞ―――っと!」
リトルネペントの脳天(っぽい箇所)をソードスキルを使わずに刺突し、的確に倒しながら青年に向けて言った。
それを聞くと青年は笑い、「それじゃ」と言いながらクエストに加わった。
……しかし、これは。私の考え過ぎだろうか。どうにもあの青年の《笑み》が、《哂い》にしか見えなかったのは、果たして気のせいだろうか。
「気のせいであってほしいなぁ……」
そう言いながら、リトルネペント301匹目を倒した。
キリトがようやく《花付き》を見つけて、それを倒してやっと《リトルネペントの胚珠》を一つ手に入れたのだが、事はすぐに起こった。
その青年、名前はコペルというらしいが、その青年が理解しがたい行動に出たのだ。
どういう事かというと、キリトが胚珠を手に入れ、私が325匹目を丁度倒したところで、
「《実付き》だ、二人共!」
というキリトの叫びが聞こえ、振り向くと確かにリトルネペントの《実付き》がいたのだが、それを私と共に聞いたコペルの口が歪み、何か呟きながら、その実付きの方へと走っていったのだ。そのコペルの呟き。暇だったので勉強した読唇術でもってそのコペルの呟きを解明したのだが……、
『ラッキー……!』
そうコペルは呟いていたのだ。
間違いない。《MPK》だ。コペルは《実付き》を倒して大量のリトルネペントを集め、それでもってキリトを《MPK》して《リトルネペントの胚珠》を手に入れる気だったのだ。
胸に詰まっていたモノが、やっと解消された。しかし、そこに残るのは爽快感ではなく、焦燥感だった。先程の私の発言は言うまでもなく冗談だが、その冗談が現実になってしまった。そうする事で《花付き》が出てくるとは限らないのに。
やってくれたな、コペル。
「な、コペル!? 何を――」
キリトが言い終わる前にコペルは、《実付き》の実を破壊した。
森に響く破裂音。
そしてやってくるは《リトルネペント》。
うわぁ、出るわ出るわ。わんさか出てくる。気味悪いな。
とにかく、キリトのもとに行く。
「キリト」
「ああ、あいつの目的は……MPKして《リトルネペントの胚珠》を手に入れる事、だったんだ」
「そうみたいだな……、カーソルがないな。《隠蔽》か?」
コペルの
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