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臆病者提督とツンデレ艦娘のケッコンカッコカリ
臆病者提督とツンデレ艦娘のケッコンカッコカリ
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 俺の机の右上の引き出しには小さな箱が置かれたままになっている。
 報酬でもらった指輪だ。
 基本、誰にもあげるつもりもないと公言していたし、これを取ったのは日々の任務で常に出ていたから邪魔だったというのもある。
 という訳で、指輪は未だここに置かれたままなのだ。

「99になったわよ」

「おめでとう。
 これ以上は上がることもないが、これからもうちの艦隊の最高戦力として働いてくれ」

 初期艦の叢雲の報告にその時はそう答えた。
 実際、99に届きそうなのはその時は叢雲だけだったのだ。
 このまま、これが続くのだろうと思っていた。

「これっ、そこに落ちてたわよっ!
 あ"っ、私が買ってきたもんじゃないからっ!
 あんたのじゃないのっ? …はやく、持って行ってよ!」

 なんだろう。このかわいい生き物。
 そして、恥ずかしそうにチョコを差し出す彼女に惚れた自分がチョロいとその時は思った。

「クリ…スマ、ス?
 西洋のお祭りでしょ。
 私、そういうのは…?
 …!
 な、なにこれ?
 美味しい!
 えぇっ?!」

 自然と目がそっちに行くのが分かる。
 で、そんな叢雲がなんとなく自分の視線に気づいているのも分かった。
 とはいえ、俺は臆病、彼女はツンデレ。
 互いにあと一歩が踏み出せるわけもなく、ズルズルと時間が過ぎてゆく。

「アンタ…酸素魚雷を食らわせるわよ!」

 最近叢雲がイライラしている。
 赤城があと少しで99に届きそうなのだ。
 日々の激闘で常に主戦場に居た彼女は必然的にその武勲も大きい。
 うちの艦隊に99が二人できてしまう。
 その事に自分はまだ戸惑っていた。
 自分は怖かったのだ。
 特別な彼女を死地に送ることが。
 彼女たちを兵器として見れ無くなることを。
 そして、自分だけが生き残ってしまう事を。
 平等に艦娘達を扱えるのかと怯えてしまったのだ。
 それを叢雲が察していることも。

「あんた、一体いつまでこの叢雲をここで待たせるつもりなの!?」

 ついに叢雲がキレた。
 バンと机を叩き、俺に迫るがその顔は真っ赤だ。
 何に怒っているのか分かるが故に、自分の視線は机の右上の引き出しに向けられてしまう。

「何なの、どういう了見なの!?
 …ったく、早くしてよ!」

 あ。
 艤装の発光機の点灯色がピンクになっている上によく見ると眼がハートに。
 誰かに煽られて我に返ったらしい。

「お、落ち着きがないのねえ…だ、大丈夫?」

 大丈夫。
 落ち着いているし。
 手が震えているとか無いし。
 あれ。
 鍵なんてかかっていないのに、引き出しが開けられない。
 汗が吹き出るのが分かる。
 やっと引き出し
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