精神の奥底
63 怪物の品格 〜後編〜
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も納得」
「知っているならいい。万が一、奴が計画に気づいて妨害にやってきたら躊躇いなく殺せ」
「う〜ん、ちょっと勿体無い気もするけど、分かった」
「勿体無いって?」
「もしかしたら仲間に引き入れ…」
「無理だ。絶対に」
「正直、安食ちゃんと同じような感じだったからさ。それにお姉ちゃんが好きになるだけあって、私のタイプでもあるし。でも昔、どっかで見たような気もするんだよねぇ」
「君が美緒の人格だった時にか?」
「うん。でもお姉ちゃんには悪いけど、安食ちゃんや私たちの邪魔をするようなら、問答無用であの世に送ってあげるよ」
「それでいい。さて、私はホテルに戻ってしばらく休むが」
「えぇ…」
互いの信頼関係が深まったかと思いきや、次の瞬間にはミコトの機嫌は崩れた。
「何?君…えっと、ミコトはどうしたいんだ?」
「せっかくシャバに出たことだし?何か美味しいものでも食べたいな♪」
「1人で行ったらどう?自由を満喫したいだろ?」
「だってお金無いし。ママから自由になったお祝いと、今夜の前祝いも兼ねて」
「子供に戻った瞬間、甘えても…ハァ…悪いけど、ハシゴはしないからね」
「安食ちゃん、太っ腹!」
信号が青になった瞬間、アクセルを踏み込む。
薬が聞いてきたのもあるだろうが、何故か心が穏やかだった。
いつもの作られた温厚さではない。
どういうわけか、ずっと1人で生きていた安食にとっては薬を服用した後に美緒、いやミコトといる時はいつも不思議な感覚だった。
幼少期の事がキッカケで自分に怪物が取り憑いたのか、それとも元から心に巣食っていた怪物が目覚めたのかのは定かではない。
だが自分にはバケモノでは無く、まだ人間としての心が残っているのだと自信を持って言うことができたのだった。
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