精神の奥底
63 怪物の品格 〜後編〜
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思い出した。君の...お姉さんでいいのかな、高垣美弥という少女は?」
「お姉ちゃん?あぁ、厳密には違うけど。私はそういう人格として基礎づけられてるから。どうしてそんなことを?」
「いや、今まで美緒の姿だった時は意識したことが無かったが、君っていうのはどういう位置づけで、どういう人間なのか気になってね」
「ふぅん。あなたが他人に興味持つなんて珍しい。で、例えば?」
「例えば...君がValkyrieに入った理由」
信号が青になると安食はアクセルを踏み込み、左折する。
Valkyrieに入ったのは、安食よりミコトの方が早かった。
美緒の記憶を持っているミコトは美緒として振る舞い、既に美緒が確立した社会的にも経済的にも優位なポストを利用してValkyrieに加担する道を選んだ。
安食自身もずっとそれが美緒としての顔だと思っていたが、それが本当は別の人格だったと知ったのはほんの数年前のことだった。
「自分の事など忘れて幸せになろうとした母と姉への恨みとか?」
「ママとお姉ちゃんが妬ましくて?まさか!それくらいだったら、ママの身体でお姉ちゃんを痛めつければいいだけだもの?そうすれば自然とママとお姉ちゃんの仲は悪くなって一件落着...」
「...君は姉が嫌いだったのか?」
「嫌いっていうか、羨ましかった。成績優秀、誰にでも優しい、絵に描いたような優等生タイプ。お母さんも私のことを忘れてはいなかったんだろうけど、お姉ちゃんとばっかり遊んで。冷静に考えるとやっかみなところもあったのかも」
「姉と母親が嫌いだったわけでもない?じゃあ、何かしたくてValkyrieに?」
「っていうかね、安食さ、前から思ってたことあるんだけど。言っていい?」
「なんだ?」
「あなたさ、人が何かするっていうのは、恨みがあるとか、何か野望があるかのどちらかだって決めつけてない?」
「それはそうだろう。Valkyrieなんて言い方を悪くすれば、死の商人ってやつだ。それに入るっていうことは、どちらかだと決めてかかっても間違いじゃない」
安食は態度を変えない。
誰から見ても安食は普通の人間の感性からは少しズレている部分があった。
今回の計画自体もそうだ。
Valkyrieの側としては、軍需の拡大による利益を目的としているが、そんな計画に参加している安食自身は金には興味が無い。
目的は全く別のところにあるが、それを達成するためにValkyrieの計画を利用しているに過ぎないということに、ミコトは気づいていた。
「なるほど。でも私がValkyrieに理由はあなたのその二原則のうちの"恨み”に入るかな」
「母親と姉が対象ではない...じゃあ、何処に対する恨みだ?」
「この国、私が生まれてこれなかった理由を作ったのは、彼らだから」
「...前に言
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