精神の奥底
63 怪物の品格 〜後編〜
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「…ふぅ、終わった。にしても、見てるだけとはいい御身分だな」
「私ね、基本的に争い事って苦手なの」
変身を解いた安食が眼鏡を拭きながら、近くの木の上を見ると、そこにはその戦いをずっと見ていた電波人間がいた。
高垣美緒がユナイトカードを用いて電波変換したことで、もう1つの人格が確固たる実体を得て分離した姿、ヤヌス・ユニコーンだ。
「嘘つけ」
「まぁ、少し語弊があるか…正直、ロックマンっていえば、地球を救ったヒーローだし?手の内が分からなかったし」
「手の内が分かるか、見た感じ自分の方が有利で一方的に痛めつけられそうな争い事以外は嫌いってことか」
「そういうこと。それに…この人…何処と無く腹が立つのに、嫌いになれない」
ため息をつく安食の隣にやってくると、同じく変身を解く。
「ほう…今回はちゃんと実体を保ってるってわけか」
「えぇ。ようやく美緒(ママ)とは完全に分離できた。あなたたちのおかげよ」
「昨日、スターダストにボコボコにされたって?」
「えぇ。全く女の子相手でも手加減が無くて。でも口は割ってないわ、信じてくれる?」
「もちろん、信じるとも。にしても…こうして生身で会うのは、初めてだね。確かに写真で見せてもらった娘にそっくりだ」
変身を解いたヤヌス・ユニコーンの顔は美緒の娘の高垣ミヤと瓜二つだった。
声も形もミヤと瓜二つ、素人目では違いは分からない。
「一応、双子…だしね。まぁ、私がママが生み出したもう1つの人格に過ぎなかったけど、もう今は違う。私は高垣美寿、気軽にミコトって呼んでね」
「言ってることは大して変わらないのに、見た目と声が違うだけで大分印象が変わったな…口調も子供らしくなった」
「もう無理にママのフリする必要無いんだもの。好きにさせてもらうわ」
ミコトと名乗ったミヤとそっくりの少女は深呼吸して、喜びを露わにした。
屈託のない笑顔で周囲を見渡し、何もかもが新鮮であるような感覚を覚えていた。
「ところで計画の方は順調か?」
「えぇ。あなたが戦ってる間に必要な物資は移動できたし、人手は多少足りていないけど、ユナイトカードを持った住人を数人操れば済むこと。全て整ってるよ」
「ところで、そこで倒れてるロックマンは?殺さないの?」
ミコトの視線は倒れているスバルに向いた。
「あぁ。生かしておく。オレたちの計画を知ってるわけでも無いし」
「アレ?珍しい。邪魔者は殺す主義だったかと思ってた」
「まぁ、普通なら殺してるところだけどね」
「じゃあ、何で?見どころでもあるの?」
「また地球に危機がやってきたら戦ってもらわなきゃならないからな。ロックマンに」
「でもまた邪魔してくるかも」
「かもな。でも明日には、コイツが戦わなくてはならないのは、オレたちじゃなく
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