暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第3章:再会、繋がる絆
第74話「足掻く」
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 椿も相当な戦闘経験を積んでいる。
 その経験を以ってしても、“勝つのは厳しい”と思わざるを得ない程だった。

「(遠距離の方が勝ち目が薄いなんて...弓術士として泣きたくなるわね。...でも、ベルカの騎士の割には私でも近接戦が可能!なら...!)」

 そう、暴走体...闇の書とはいえ、再現している姿はリインフォースそのものだ。
 そのリインフォースは、ベルカの騎士としては近接戦にそこまで強くはない。
 シャマルと同様、後方支援が主な戦い方なため、それが暴走体にも影響され、後衛型の椿でも接近戦で渡り合えるのだ。

「...保険として持っておいて正解だったわね...。」

 暴走体から逃げ回りつつ、椿は懐から御札を一枚取り出す。
 それに霊力を流し込み、“収納”していたものを取り出す。

「葵とユニゾンしているならレイピアだけど...私個人なら刀の方が扱えるわ!」

 短刀を仕舞い、回避不可能になった魔力弾を、取り出した刀に霊力を込め、切り裂く。
 この刀は、事前に優輝が創造しておいたものである。
 武器を紛失した時の保険として御札に収納しておいたのだ。

     ギィイイン!!

「っ...!!」

 魔力弾を潜り抜け、椿は暴走体へと斬りかかる。
 霊力を込めたその一撃は、パイルスピアによって受け止められてしまう。

「まだよ!」

   ―――“霊撃”

 片手を刀から離し、霊力を掌に集めて掌底を放つ。
 ...しかし、同じように暴走体も掌に魔力を集めていた。

「ぐっ...!」

 霊力と魔力がぶつかり合い、相殺するように爆発が起きる。
 咄嗟に椿は後ろに跳ぶが、爆風は躱しきれずに吹き飛ばされてしまう。

「っ、させない!」

   ―――“チェーンバインド”

 吹き飛ばされる椿に対し、追撃を行おうとする暴走体だが、バインドに阻まれる。
 魔力弾を凌ぎきったユーノが、その行動をさせまいと動いていた。

「くっ...!」

「椿!僕が防ぐから....っ!!」

     ギィイイイイイイン!!

 バク転の要領で魔力の足場に手をつき体勢を立て直す椿。
 それを見て、バインドによってできる隙を突くようにユーノは言うが、暴走体に引っ張られ、おまけに暴走体もユーノに襲い掛かってくる。
 パイルスピアによる一撃を、ユーノは咄嗟に防御魔法で防ぐが...。

「っ、あがっ...!?」

「ユーノ!」

 パイルスピアの穂先が防御魔法に食い込み、そこから砲撃魔法が放たれる。
 幸い、威力はそこまで高くなかったのか、ユーノの防護服で傷はない。
 だが、ダメージは大きかったようで、すぐさま身動きが取れなかった。

「させ、ないわよ!!」

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