暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第3章:再会、繋がる絆
第74話「足掻く」
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       =奏 side=







「.......。」

 私は困惑していた。目の前に広がる光景に。

「奏ちゃん、退院できたんだってね。おめでとう。」

「....いえ、あの、■■さんこそ、いつもお見舞いに来てくれてありがとうございました。」

 自身の記憶を探ってみても、今会話している相手を知らない。
 その事が、私を大きく混乱させていた。

「切っ掛けはちょっとした事だったんだけどなぁ...。まぁ、ドナーが見つかって本当によかったよ。その人にも感謝しなきゃな。」

「....はい。」

 会話の相手の言葉に、少し微笑みながら返事をする。
 ...嬉しく思っているのだ。自分が生きている事に。

 確かに、私は前世で生きるのをほぼ諦める程の心臓病に掛かっていた。
 だから、こうして退院できる程に回復したのが嬉しいのだと思う。
 ...だとしたら、今正面にいる彼は誰...?

「(...安心する....。)」

 彼と近くにいるだけで、私は深い安心感を覚えていた。
 それはまるで、私の全てを包み込むような、そんな暖かさだった。

「さぁ、行こう奏ちゃん。やりたい事、いっぱいあるんだろう?」

「...はい!」

 手を差し伸べられて、私は元気よく返事をしながらその手を取る。
 ...先ほどから私は喋っているけど、全部私の意思は無視されている。
 つまり、勝手に喋っているのだ。

「(...誰?誰なの...?)」

 安心感があると同時に、彼が誰なのか非常に気になる。
 ...いや、気になるというより、思い出せない...?
 私は、彼を知っている...?



   ―――...トクン...



「...生きる事の素晴らしさを教えてくれて、本当にありがとうございます。...()()さん。」

 小さな鼓動の音と共に、彼の顔が明らかになる。
 ...その姿は、あの優輝を青年に成長させた...そんな姿だった。







   ―――...トクン...









 ...心臓の音が、私に何かを訴えかけている...そんな気がした。





















       =out side=







「くっ....!」

 ノイズの走る偽物のビル街を、椿は駆ける。

「は、ぁっ....!」

 魔力によってできた足場を利用し、何度も跳ぶ。
 その度に、寸前までいた場所に赤い短剣が刺さり、爆発する。

「(強い...!)」

 苦し紛れに反撃の矢を放
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