参った!と唸らせる魚。part2
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番高い所が少し水面に出る位の高さがベスト。スーパー等で売っている物なら2時間〜半日、掘ってきた物なら半日〜一晩浸けておくとしっかりと砂を吐き出してくれる。
砂抜きが終わったアサリとハマグリを、ザルに開けて米研ぎの要領でガシャガシャと洗っていく。こうして貝殻に付いた細かい汚れを落としてやる。次は鯵に飾り包丁を入れておく。斜めに三ヶ所程で良いだろう。ここに軽く塩を振ったら、フライパンにオリーブオイルを敷き、火を点けて軽く熱しておく。ニンニクをスライスした物と鯵を投入。ニンニクのスライスが面倒なら、包丁の腹を使って押し潰しても良い。元はイタリアの漁師メシ、意外と適当だ。
鯵の表面に軽く焦げ目がつき、カリッとしてきたら裏返し、ここにアサリとハマグリを投入。そして白ワインを入れるんだが、スーパー等で売っているアサリ1パックに対して50ccだから、80〜100cc位かな。入れたら蓋をして3分程待つ。貝が開いてきたら水を300cc程一気に加える。このボコボコ言っている姿がイタリア語で狂った水……Acqua pazzaの名前の由来になった……という説もある。
そしたらここにミニトマト。ヘタを取り、半分にカット。幾つかは味出しの為に軽く潰してもいいかもな。コレをオリーブオイル200ccと一緒に入れて、豪快に混ぜる。本格的な味にするなら、ここに黒オリーブやケッパーを入れるとかなりレストランに近い味になる。後は全体に馴染むように鍋を揺すりながら煮込み、塩胡椒で味を整えてパセリを散らす。この出来上がりの煮汁の色が、質の悪い密造ワイン、acqua pazzaだと言う説もあるが、本当の所は解らない。
「さぁ出来たぞ、『鯵と二種の貝のアクアパッツァ』だ。」
瞬間に伸ばしてきた江風の手を、ヒョイとかわす。
「ちょ、ちょっと!?何すんのさ提督?」
「あのなぁ江風。俺だって美味しく食べて貰える奴に食わせたいの。つまんねぇ意地張って、美味しいって素直に言えないような奴には食わせたくないの。」
ぐぬぬ……、という悔しそうな顔をする江風。よっぽど食べたいのか、身体はぷるぷる震えてるし、唇もワナワナしている。
「……った。」
「あん?聞こえねぇぞ。」
「解ったよ!参った、参りました?提督の料理はプロ並みだよ。だから、早く食べたいからそれちょうだい!」
勝った(悦)。全くもう、最初っからそうやって素直にしてりゃあ可愛いってのに。そう思いながら頭を撫でてやる。
「頭撫でんなー?子供扱いすんなー?」
ムキー!となりながらも食べる手は止めない。全く、本当の娘みたいに思えてくるからな、駆逐艦は可愛いなぁ。
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