第一章 天下統一編
第六話 忙しい休日
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も、俺に十五人も人を渡したくないのだろう。俺に人を渡しすぎて、俺が北条征伐功績を挙げられては堪らないと考えているのかもしれない。
いや違うな。
俺への嫌がらせの意味合いが強そうだ。流石の義父も初陣の俺に脅威を抱くとは思えない。自分より多い知行を元服するなり与えられた俺のことが気にくわないのだろう。
「では十二人でお願いできませんか?」
「無理だな」
義父は即答した。本当に狭量な男だな。
「では十人でお願いできませんか?」
「その位なら出してやろう」
義父は大仰に俺に言った。一々偉そうに言う義父に怒りを覚えたが、人を出してもらうためと怒りを押し殺し平静を保った。義父から融通してもらう家臣の大半は戦場での働きなんて期待していないが、軍役の人数を満たすための数合わせには必要だ。
我慢だ。
我慢だ。
俺は自分に言い聞かせた。
「父上、感謝いたします」
「人の希望はあるか?」
俺が底心低頭で義父に応対していると、義父は気分良さそうにしていた。
「人を融通していただけるだけで感謝いたします」
「俊定、遠慮無く言え」
義父の様子を見て、俺は後日にまた秀清を家臣に欲しいと頼むつもりだったが考えを改めた。この空気なら頼めるかもしれない。
「では、秀清叔父上をお願いできませんでしょうか?」
「秀清だと!? あれで良いのか?」
義父は拍子抜けした様子だった。だが、義父は直ぐに思案気な表情に変わった。
「秀清をやるとなれば十人も人はやれんな」
義父はわざとらしく思案気な顔をした後に陰険な表情を浮かべた。義父は俺によほど人をやりたくないようだ。態度から滲み出ている。養子とはいえ我が子に見せる顔じゃないな。俺は冷めた心で義父を見た。
「そうですか」
俺は一旦引き下がった。その様子を見る義父は愉快そうだった。義父の様子を見た俺はわざと困った表情で思案しているように演技した。
「秀清叔父上を含めた場合、どの程度の人数を融通していただけますか?」
俺は出来るだけ悩む素振りをした後に義父に声をかけた。
「そうだな。秀清を含め五人か」
義父は勿体ぶった態度で俺の要求の半分の人数を掲示してきた。俺は義父の答えを聞き悩んだ素振りで沈黙した。義父は俺の返答を待っていた。あんまり渋っても俺が秀清に執着していると思われても困るしな。
「父上、それで構いません。秀清叔父上を含め五人でお願いします」
「分かった。秀清には申し伝えておく。残りの四人は私が決めておく」
義父は大仰に俺に言った。その表情は満足している様子だった。本当に俺に人をやりたくないようだ。この様子なら俺の元に間者を紛れ込ませるような真似はしないだろう。
こうして俺の慌た
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