第一章 天下統一編
第六話 忙しい休日
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
需品を持たせてくれたことへの感謝の言葉を述べた。
「俊定、親として当然のことをしただけのことだ。それで今日この屋敷に参った用向きは何だ?」
義父は単刀直入に俺に尋ねてきた。一応、この屋敷は俺の実家になるんだがな。義父の棘のある物言いを俺は聞き流し笑顔で義父を見た。
「私はただ父上に御礼を申し上げに参っただけです」
「そうか」
義父は俺の発言に拍子抜けした様子だった。俺に人を融通してくれないかと頼まれると考えていたのかもしれない。この様子だと快く人を融通してくれそうにないな。一応、粉だけ振っておくとするか。話の流れ次第では人材紹介を頼むとしよう。
「関白殿下から北条攻めへ参加するように厳命を受けました。一度はお断りしたのですが、初陣に良い機会と言われまして、有り難くお話を受けることにしました」
「ほう。お前も北条攻めに参加するのか」
義父は気のない返事をしてきた。この様子からして、既に秀吉から義父に伝えられているに違いない。義父は感情の起伏を感じさせず、全く驚いた素振りがない。
「関白殿下は木下家と小出家から人材を募れと命ぜられました」
俺の発言に義父は表情を途端に憮然とした。義父は腹芸が出来ないようだな。お陰で分かりやすい。俺は心の中で苦笑してしまった。
「関白殿下はそう仰ったのか?」
義父は不満気な口調で俺に言った。
「はい。元服したての私に伝手は限られるとお考えになって仰った言葉だと思います」
俺は淡々と義父に告げた。義父としては秀吉から告げられた以上、無視はできない。多分、俺に告げられるまで無視を通すつもりだったのだろう。浅はかな考えだ。生憎と俺は嫌われている相手でも必要なら頭も下げる。子供じゃないんだから。義父に呆れながらもそれを態度に出さない。
「父上、急な頼み迷惑なことと思いますが、人を融通してもらえますか?」
俺は義父に予防線を引いておいた。これで俺の頼みを拒否したら俺に対して「迷惑だ」と言っていることと同義になる。そして、このことは当然に秀吉の耳にも入ってしまう。浅慮な義父でも理解できるだろう。その証拠に表情を顰め俺のことを見ていた。
「俊定。何人欲しいのだ」
「そうですね」
俺は義父の態度に心怯むことなく思案した表情になった。秀清を入れて五人位でいいだろう。あまり多いと将来的には俺の家臣団の不安要素になるかもしれない。最悪のことを考えて粛正しやすい人数がいい。
「十五人お願いできませんか?」
俺は期待する人数の三倍を要求した。義父は俺の要求に眉間に皺を寄せた。
「十五人だと。そんな人数を出せん」
義父は憮然と言い放った。小出家の暇をしている五男・六男を集めれば、その位の人数なら融通できるはずだ。で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ