第一章 天下統一編
第六話 忙しい休日
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た船です。私で出来ることならお力になりましょう」
「実は北条征伐にあたり侍を募集しています。それで当家に仕官してもいいという人物をご紹介いただけませんか?」
「どのような人物を求めておいでなのですか?」
「出自は問いません。私は才能重視です。だから、戦働きを期待できる者をご紹介いただきたいと思っています」
「随分と門戸が広いのですね」
津田宗凡は愉快そうに微笑んだ。
「私は身分と人の能力は比例しないと考えています。例え織田や豊臣と対立した家の者や家臣の者であっても、私の元で働きたいというなら才能重視で雇います」
「因縁のある者達を雇うと裏切る可能性があるかもしれません」
「裏切られたのなら私の器量がそこまでだったということです」
俺の返答に津田宗凡は感心した様子で頷いていた。
「かしこまりました。この時節であれば、大阪や京に陣借りをしようと諸国から浪人が集まっていると思います。見込みのありそうな人物を見つけ小出様にご紹介させていただきます」
「よろしくお願いいたします」
俺の頼みを快諾してくれた津田宗凡に俺は頭を下げた。その後、津田宗凡は早々と帰っていた。俺は奥座敷から軒下の廊下に移動して外の景色を見た。まだ、日は高い。
「義父の所に挨拶をしておくとするか。引越では色々と世話になったしな」
俺は引越の手伝いの礼を義父に伝えるために義父の屋敷に向かうことにした。
義父の屋敷に向かう道すがら半九郎と出会った。その時、半九郎から秀清に手紙を渡すことができたと報告を受けた。俺が義父の屋敷に到着すると、侍女に案内され奥座敷に通されしばらく待たされた。その間、俺に白湯の一つも出しに来ない。本当に俺は歓迎されていないようだな。
半刻(一時間)経過した頃、義父が姿を現した。
嫌がらせのように待たせ、わざとらしい。
俺は義父に呆れながらも平静を装い平伏した。俺の方が義父より大身だが、こんな男でも義父だからな。それに引越の礼を言い来たのだからわざわざ波風を立てる必要もない。
「俊定、よく参った」
義父は愛想のない声音で俺に声をかけてきた。俺は顔を上げ姿勢を正し義父に向き直った。義父は俺に対して不愉快そうな顔をしていた。俺の知行の件は既に知っているのだろう。この屋敷から俺が出る日、俺に対して久方振りに愛想良く接していたのが嘘のようだ。
義父の反応は攻めるつもりはない。そんなものだろうと思っている。でも、義父も実子、吉英が生まれるまでは俺のことを可愛がってくれていた。あの頃が嘘のようだ。俺の義弟である吉英は元服後の名前で、今の彼は万作と名乗っている。
「父上、祝着そうで何よりでございます。引越の手配とご高配を賜り、厚くお礼申し上げます」
俺は引越の手配と米や味噌など生活必
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