第一章 天下統一編
第六話 忙しい休日
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田宗凡が助言してくれた。小出家の定紋を使うしかないと悩んでいた俺は彼の意見に耳を傾けた。
「手を加えるとは具体的にどうするのでしょうか?」
「小出様の御家の家紋は額を丸で囲んでいますから、その丸を変えては如何でしょうか? 鉄砲菱や隅切り鉄砲角などがあります」
津田宗凡の提案に俺は返答に詰まった。彼の提案は額紋と調和しない。思いついたものを俺に言っているだけだろう。だが、どんな風に換えればいいかは理解できた。
うーーん。
悩む。
うーーん。
八角井筒にしよう。
「八角井筒にしようと思います」
「八角井筒ですか」
津田宗凡は俺の考えを額紋に合わせて想像しているようだった。
「小出様、問題はないと思います」
津田宗凡は笑顔で俺に答えた。
「津田殿、私は未だ未だ未熟者です。今後も足らない部分がありましたら助言してくださるとありがたいです」
「私でどれ程のお役に立てるか分かりませんが、できる限りのことをさせていただきます」
俺が殊勝な態度で津田宗凡に頼むと、彼は少し驚いた表情に変わるが直ぐに笑顔で答えてきた。
「では、御貸具足等に入れる家紋は『八角井筒に園部額紋』でよろしいでしょうか?」
「それで問題ありません。津田殿、よろしくお願いいたします」
「急ぎ注文いたします。代金は米の売却代金から差し引きさせていただこうと思います。それでよろしかったでしょうか?」
「それで問題ありません」
「では、差額は一週間後位にお届けに上がります。商品につきましては一月後に届けさせていただきます」
「お願いします」
軍役に必要な物を天王寺屋に注文し終えると、津田宗凡が俺の屋敷の奉公人の話をしてきた。俺は苦笑いした。俺の屋敷の奉公人は半九郎とリクの二人だ。二人とも下人であるため身なりはよろしくない。大身旗本である俺の屋敷の奉公人が下人二人ということは外聞が悪いに違いない。まだ、引越二日目であるから追々人を増やそうと思っていた。でも、性格の悪そうな奉公人は雇いたくない。半九郎とリクが気持ちよく働けるようにしてやりたい。
「小出様、これも何かの縁です。よろしければ若党と中間、それと侍女をご紹介させていただけますか? 身元は天王寺屋が保証させていただきます」
俺は津田宗凡の提案に表情を綻ばせる。
「津田殿、よろしいのですか?」
「はい。今後とも小出様とは末永くお付き合いしたいと考えております。この程度のことでよろしければお手伝いさせていただきたく思います」
津田宗凡は友好的な様子で俺に微かに微笑んだ。折角の申し出だから俺は受けることにした。
「津田殿、奉公人を増やしたいと思っていたので本当に助かります。不躾な頼みをしてもよろしいでしょうか?」
「乗りかかっ
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