第一章 天下統一編
第六話 忙しい休日
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を書いていたため文字を書き損じた。俺は書きかけの手紙を恨めしそうにしばらく凝視していた。
「書き直すか」
俺は諦めて手紙を書き直すことにした。胤舜への手紙には俺が大名になったこと。それで人手が足りない窮状を切々と訴えた。胤舜とは半年の知り合いであるため、この手紙に答えてくれるか半信半疑である。でも、しないよりましだと思った。
当初の予定より人材集めが難航しそうだ。あと二月もない。一ヶ月中には人材を集める必要がある。足軽と武家奉公人は知行地で徴発すればどうにでもなる。問題は侍だ。単純に計算して四十人近い侍を仕官させる必要がある。俺は叔父・秀清に国家老として俺の領地を管理して貰おうと思っていた。だから、それ以外で四十人かき集める必要がある。だが、単に侍を集めればいいというものじゃない。
備の編成で騎馬隊に侍二十人が一番難しい。馬に乗れるだけで優れた技能と言える。かく言う俺は馬に乗れる。
次に鉄砲組の配属させる鉄砲足軽と、それを指揮する鉄砲大将をどう揃えるか。最悪、弓組にしてしまえばと思うが弓の技能もありふれたものじゃない。しっかり足軽に弓の訓練をさせずに戦場投入など常識的にしないだろう。時間があれば何とかなったと思うが時間は残り少ない。それに比べ鉄砲なら熟練度の差はあるが、短い期間で見た目だけでも鉄砲組の体裁は整えることができるはずだ。
旗組、長柄組、太鼓・貝、小荷駄は何とかなるだろう。軍監・目付は難しいところだが今は考えないでおこう。
俺はぶつぶつと独り言を言いながら手紙を書いていた。最後に俺はある有名な言葉を書き記した。「唯才是挙」と書いた。これは三国志の英雄、曹操が人材を求める時に書いた言葉だ。漢籍を読める胤舜なら、俺の気持ちを理解できるはずだ。はっきりいって、今の俺は才能があればどんな出自の者でも雇う。
「殿様、天王寺屋の津田様が参っておられます」
俺が手紙を書き終えた頃、リクが俺に襖越しに声をかけてきた。津田宗凡がやってきたのか。
「リク、奥座敷に通しておいてくれ。それと半九郎を呼んでくれ」
リクは俺に頭を下げると去って行った。俺は胤舜宛の手紙を紙で包み封し、秀清宛の手紙を書いていると半九郎がやってきた。
「殿様、御用でしょうか?」
「半九郎、もう少し待っていてくれ」
俺は手紙を書き終えるとそれを折り畳んだ。
「秀清叔父上のことは承知しているな」
「承知しております」
「この手紙を秀清叔父上に渡して目を通して貰ってくれ。それと、その時にこの文を一緒に渡して欲しい」
「かしこまりました」
半九郎は俺から文を受け取ると立ち去った。その姿を俺を見届けると奥座敷に移動した。津田宗凡を待たせるはずだから、俺は急ぎ足で向かった。
「津田殿、お待たせして申し訳あり
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