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おぢばにおかえり
第三十七話 三年生なのでその十三

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「それでもよ」
「じゃあ合格ですね」
「全然合格じゃないから、すぐそうして調子に乗るんだから」
 私はむっとなってまた阿波野君に言いました。
「全く」
「いやいや、ところで先輩三年生ですよね」
 阿波野君がここで私に聞いてきました。
「そうですよね」
「そうだけれどどうしたの?」
「いえ、それなら受験ありますよね」
「ええ、だから受験勉強してるわ」
「そうなんですね」
 阿波野君はこんなことも言ってきました、ここで。
「じゃあ僕も真面目に」
「真面目にって?」
「これまで通り勉強しますね」
「阿波野君も天大受けるのお?」
「そのつもりです」
「そうなの、じゃあ頑張ってね」
 私は阿波野君の言葉を受けてこう返しました、別に悪意はなくて本当に頑張って欲しいと思ったからこう言いました。
「勉強することはいいことだしね」
「そうですよね、夢を掴む為にも」
「大学に入って?」
「それも天大が一番いいですしね」
「天大のどの学部受けるの?」
「宗教学部です」
 意外な返事が返ってきました。
「そこで天理教の勉強をしたいです」
「あれっ、阿波野君のお家って信者さんで」
「教会でも布教所でもないですよ」
「そうしたところ継いだりしないのよね」
「はい、そうです。ただ」
「ただ?」
「会長さん、所長さんにならせてもらえるなら」
 変な笑顔で私を見ての言葉になってきました。
「その時に備えたいですね」
「そうなの。ただね」
「ただ?」
「何で私の方を見て言うの?」
「そのことですか?」
「それが気になるけれど」
 阿波野君にとってはよくあることにしてもです。
「何でなの?」
「いやいや、それはですね」
「それは?」
「横に先輩がいましたんで」
「私が見て何で見るのよ」
 思わず首を右に傾げさせてしまいました。
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