第三章
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「悪い音じゃないわよね」
「それはそうね」
「結構いい感じの音よね」
「蛙の鳴き声も聴こえてね」
「そっちも音楽みたいね」
「私蛙自体は苦手なの」
小さな女の子らしい言葉をだ、凛音は少し苦笑いを浮かべて言った。
「それでも鳴き声は好きなの」
「そっちはなのね」
「凛音ちゃん好きなのね」
「蛙の鳴き声は」
「それは」
「そう、特にこうして傘をさしてね」
そしてというのだ。
「道を歩きながら聴くのがね」
「今みたいになのね」
「こうして聴くのが好きなのね」
「そういうことね」
「今みたいに」
「そうなの、だから今凄く気分がいいの」
にこにことした顔になっていた、実際に。
「歩いていこうね」
「それじゃあね」
「雨と蛙の鳴き声を聴きながらね」
「お家に帰りましょう」
「こうしてね」
「うん、そうしようね」
凛音はにこにことしたまま皆と一緒に家に帰った、そうして家に帰ってお昼を食べてそれからは少し夏休みの宿題を早速してだった。
まだ雨だったので家の中でゲームをして遊んだ、だが中学生の姉が部活が終わって帰ってきたので交代すると。
母にだ、その時に言われた。
「今日も塾あるでしょ」
「うん、じゃあ行くわね」
「そっちも頑張りなさいよ」
「夏も塾があるのよね」
「そうよ、ちゃんと勉強をしてね」
そちらは忘れずにとだ、母は凛音に言った。
「成績は出来る限りね」
「いい方がいいから」
「そうなる様にしてね」
「ええ、わかったわ」
「それじゃあ」
「ええ、今からね」
「お母さんが車で送るわ」
母は娘にこうも言った。
「もう少ししたら行くわよ」
「あっ、待って」
だがここでだ、凛音は母に言った。よく母親似と言われる顔で。
「今日は歩いて行っていい?」
「雨なのに?」
「うん、それでもね」
「歩いていきたいの」
「傘さして」
「あっ、そうね」
母もここでわかった、母親だけあり。
「凛音ちゃん雨の音が好きだし」
「蛙の鳴き声もね」
「聴きながら行きたいからなのね」
「そうなの」
まさにそれでとだ、凛音は母ににこりと笑って答えた。
「だからね」
「わかったわ、じゃあね」
「それで行っていいわね」
「ええ、いいわ」
母も娘ににこりと笑って答えた。
「じゃあ一緒に行きましょう」
「傘さしてね」
「傘も好きよね」
「そうなの、雨は好きじゃないけれど」
傘自体がだ、凛音は好きなのだ。
「それじゃあね」
「傘さしてね」
「行きましょうね」
「うん、塾にね」
二人で話してだ、そのうえで。
凛音は姉に留守番をしてもらいながら母と一緒に塾に行った、傘をさして雨の中を。夏の雨音はリズミカルで蛙の鳴き声は楽しげだった。
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