第三十二話 長崎での日常その十
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「好きよ」
「そうか、意外な趣味だな」
「蓮見ってそんな感じないのにな」
「全然スポーツと縁がない」
「そんな風だって思ってたら」
「観ることはね」
あくまでこれ限定でというのだ。
「好きよ」
「そうか、じゃあな」
「これからも阪神応援しろよ」
「俺達も阪神嫌いじゃないし」
「阪神ならいいぜ」
「有り難う、じゃあ今度ね」
優花は男子生徒達の励ましにも似た言葉を受けて微笑んで言った。
「阪神の試合があったら」
「観に行くのね」
「そうするのね」
「そうしたいわ」
若宮と都島にも答える。
「是非ね」
「そして楽しみたい」
「そう言うのね」
「ええ、じゃあ今度」
こんなことも言った優花だった。
「美術部の絵で甲子園描こうかしら」
「あっ、いいんじゃないそれ」
「野球描くのもね」
「あそこ球場自体がいいし」
「絵になるのよね」
「昔は蔦があって」
それがかかっていたのだ。
「独特の雰囲気が出ていたのよね」
「そうそう、昔の甲子園はね」
「そんなのだったわね」
「あの蔦に蛇がいたらしいけれど」
「それでもね」
「描きがいもありそうだったわ、だから」
それでというのだった。
「描くのなら昔の甲子園」
「そっちっていうのね」
「ネットで画像もあるし」
昔の甲子園球場のそれがというのだ。
「資料にして描いていきたいわ」
「じゃあそっちも頑張ってね」
「部活の方もね」
「優花っち部活も熱心だし」
「考えて入ったそこもね」
「ええ、絵を描いてると」
そうしていると、とだ。優花は若宮と都島に笑顔で答えた。
「それだけで幸せな気持ちになれるから」
「絵ね」
「それを描いていたら」
「絵大好きだから」
それでというのだ。
「好きになれるわ」
「美術部な、あそこの顧問松中先生だったな」
「あの先生でかいけれど優しいんだよな」
男子生徒達も言う。
「穏やかで紳士でな」
「いい先生だよ」
「やっぱりいい顧問がいい部活を作るってな」
「そう言うしな」
「集まりが悪いってだけで生徒蹴ったりする先公いるしな」
「そんなのと大違いだよ」
「それだけで人を蹴るとか」
優花はその話を聞いて眉を曇らせた、それも自然に。
「酷くない?」
「朝鮮労働党みたいだよな」
「けれどこうした先公本当にいるからな」
「福岡とか多いらしいぜ」
「関西全体とか広島とか」
「そこら辺が酷いらしいんだよ」
「長崎もいるからな」
この県にもというのだ。
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