デスゲーム
第一章
旅立ち
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再び始まりの町に戻った俺の目に写ったものは、凄惨な光景だった。
泣き叫ぶもの、怒り狂って人に当たるもの。
自暴自棄になってソロでフィールドへ出るもの。
町は9割ほどの人は絶望し、うちひしがれていた。
俺は、そんな人々を見るのが嫌になって、背を向けて駆け出した。
目指すは次の町。少しでも安全を確保して、キリト達と合流しなくてはならない。
フィールドに出ると、昼間とは全く違う光景が見えた。
先程まで人で溢れていたとは思えないほど殺風景になり、モンスターの瞳だけが月光と共に爛々と輝いている。
シュイン、と三体ほどの狼がポップした。
狼はこちらを視認すると同時に攻撃をしてくる。
本来なら避けるべきその一撃。しかし、ツバキは避けずに反撃した。
「ッ…オオオオッ!」
刀ソードスキル【辻風】
翡翠色の光芒が刀身に宿り、軌道に光の軌跡を生み出す。
その頃にはもう、ツバキは駆け出していた。
ツバキの怒りに呼応したように、剣が再び姿を変える。
無限投擲専用武器、【螺旋】。
白銀のクナイの形をしたそれを両手のすべての指に絡めて持つ。そして、前方の狼たちが出現するであろう場所に投擲する。
投擲専用スキル【スナイプ・ショット】
一直線に伸びて行ったクナイは徐々に加速していく。
そして、加速しきった瞬間______
「ギャゥ!!」
出現した狼たちの眉間を深々と貫いた。
それから何時間か休憩を取りながら走り続け、トールバーナへ到着した。
幸いなことに、人は俺以外に居なかったため、良さげな宿屋を手早く借り、ベッドに突っ伏した。
眠るのにたいして時間はかからなかった。が、ふとユウキやランが死ぬ夢を見て、飛び起きていた。
ようやく深い眠りが訪れ、俺は翌日の夜まで寝ていた。
その頃にはキリトからのメッセージも届いており、ユウキたちの安否がはっきりとした。
「俺があいつ等を守らないとな…」
ひとつの決意を固め、俺はフィールドに足を向けた。
一ヶ月後……
宿屋に、ノックの音が響いた。同時に元気な声が届く。
「ツーバーキー!行こー!」
「ハイハイっと。行きますよー!」
「はいは一回!」
ゲーム開始から一ヶ月。
2000人もの死者を出したデスゲームはいまだに一層クリアすらしていない。
しかし、僅かな希望が集結し、今日、一筋の光となろうとしている。
「よし、第一層攻略会議、行くか!」
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