私の死臭
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せ…手ごろな大きさになったマウスを…生餌として与えているのです…絶対数は控えめなはず…」
―――うわ。
「こ、子供を産ませて…可愛い盛りの子供を…お、親の目の前で…!!」
同棲男が気も失わんばかりにのけぞり、ガクガク震えながら白目を剥いた。
「あっ…悪魔か―――!!お前マジモンの悪魔か―――!!!知りたくなかったわそんな階下で夜な夜な繰り広げられる惨劇!!!」
「おい落ち着け!気持ちは分かるけど今は落ち着け!」
…くそ、同棲男がちょっと面白い感じになってきた…
「しかし右でも左でも上でもない、とすると…」
渡辺が顎に手を当てて天井を睨んだその瞬間、イグアナ男の腕からイグアナがするりと飛び降りた。
「あっ…ポロンちゃん」
ポロンちゃんは何かに興奮したように、一番下の段ボール箱に突進した。何度も、何度も突進して、獰猛に齧りつくのを繰り返す。あーもう、やめろよ荷物が崩れるよ。
……えーと、あの段ボール何だっけ、えーっと……
「ポロンちゃん、どうしたの、その、段ボールが……」
段ボールの裏側をそっと覗き込むと、恐ろしい文字が刻まれていた。
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「…おい、何固まってんだよ」
渡辺の声にふと我に返る。
「この、段ボールは…」
そうだ、この段ボールは…
「数週間前に、クール便で届いて…」
「な、なんじゃ、この箱臭いぞ!?」
「解凍しようと、放置してそのまま忘れてた…」
「ちょ、何ですかこれ…え?汁出てません!?」
「虫も…湧いていますねぇ。ポロンちゃん、お戻りなさい」
「マグロの半身」
「……おっ前じゃねぇか―――!!!!!」
真昼のアパートに、4人の絶叫が轟き渡った。
この後、俺は迷惑料として彼らにマグロの寿司をおごらされた。
あの惨状をみた後によくマグロを食いたいと思うな、とか、何でどさくさに紛れて渡辺もマグロ食ってんのか、とか色々納得がいかない。
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