第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#27
FUTURE’S MEMORYV〜Forever&ever〜
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【1】
『……』
流れ落ちる血、砕けた腿骨、露出した内臓などは
寧ろ美しいとさえ想えた。
木っ端微塵に吹き飛んだ筈の、
断末の叫びすらあげられなかった筈の存在が
まだ生き残っていたというその 「底力」 に、
紅世の巨竜は初めて人間へ敬意に近い感情を抱いた。
蛇足やもしれぬが記しておこう、
先刻、イルヤンカの極大突貫の刹那、
ジョセフは即座に防御も回避も捨て去った。
避けるには相手が巨大過ぎ、防ぐも同様コレだけの大質量を受け止める術はない。
故に、突貫の方向に逆らわず強張った全身を極限まで脱力、
緩やかに後方へと跳びながら天を仰ぐ形で身体を反転、
足裏を重点に全身へ波紋を巡らせ、更に守備補強の為
『隠 者 の 紫』 で隈無く身を包み込んだ。
暴風の中の落葉、激流の中の魚に同じく力に対抗するのではなく
「受け流す」 方法でイルヤンカと相対。
その策は、確かに功を奏した、
充分以上に効果は有った、突貫の部分威力も半減した、
しかし、イルヤンカの業はジョセフの想像を超えて凄まじ過ぎた。
暴風の中の落葉も、冥府の狂風の中では塵芥に帰す、
激流の中の魚も、魔海の死流の中では廃滅する事逃れられず。
技や策の通じる次元ではない、元より結果は決まり切っていたのだ。
イルヤンカが、己が最大奥義を発動させてしまったその瞬間から。
『よく、やった。
私は、名の在る王、そしてフレイムヘイズと星の数ほど戦ったが、
人間の貴様の方が余程手強かったぞ……』
勇者を、誇り高き男をこれ以上苦しませるべきではないと想ったが、
言葉は意図せずイルヤンカの口から漏れた。
戦士に情けは、死ぬ以上に相手を貶める、
故に非情となるため、相手の存在をより強く心に刻み付けた。
「貴様のような男が一人でもいれば、
我等が “と む ら い の 鐘”も、
敗れる事はなかったやもしれぬ……」
地獄の責め苦を延ばす数秒間、許せよと想いながら、
巨竜は大爪がギラつく前脚を持ち上げる。
歴戦の英雄に冥福を。
ジョセフ・ジョースター、その名を永遠に忘れる事はないだろう。
さらば、五百年の時を経て出逢った強者よ。
討滅の重撃が振り下ろされるのとほぼ同時、
足掻く事も藻掻く事せず蹲 っていたジョセフの躯が、突如動いた。
『――ッッ!!』
一際強い光を放つ、巨竜の赤眼。
当然逃れる為に這い擦るかと想ったが、
逆に致命の深手を負った人間は自分に立ち向かってきた。
辛うじて原形を留める右腕、その手に古風が故の精巧な造りが成された
大型のボーガンが握られて
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