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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第六十七話 体調が悪くても無理をしなくちゃならない時があるのです。その2
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お前には済まぬことをしたのう。普通の貴族令嬢として平穏な家庭を持たせたかったのじゃが、これから先はそのような事が逆に不幸を呼ぶでな。」
エステルははっとなった。今グリンメルスハウゼン子爵爺様がおっしゃったことはアレーナが以前言ったことと同じことだったからだ。おじいさまとアレーナお姉様は
私
(
わたくし
)
のことを案じて女性士官学校に進ませたのかしら、こうなることをわかっていらっしゃったのかしら、とエステルは思っていた。
「アレーナ。」
アレーナはエステルの肩に手を置いた。
「色々と世話になったのう。そのついでにどうかエステルの行く末を見守ってやってほしいのじゃ。」
「もちろんですよ。おじいさまには世話になりっぱなしでしたもの。その恩返し、できなかった分の何倍も、エステルにさせてください。」
アレーナ・フォン・ランディールがきっぱりと誓う姿を、グリンメルスハウゼン子爵は瞼を閉じた後も残像として脳裏に焼き付けていた。
「二人とも下がってよいぞ。儂は少し眠るでなぁ。」
一瞬二人はためらう様子が目をつむったグリンメルスハウゼン子爵にはわかった。だが、そっと立ち上がる気配と衣擦れの音、そして静かにドアを閉ざす音がして、老子爵は狭いひっそりとした自室に一人残された。
目を閉じたグリンメルスハウゼン子爵の脳裏には夢とも回想ともつかぬ色とりどりの映像の切れ端が流れ始めていた。70余年生き続けてきたグリンメルスハウゼン子爵には既に忘れ去っていた事、忘れようとした事、反対に思い出したくても思い出せなかった事、様々な思い出があったのだが、その一つ一つに触れることができていた。初めて学校に上がった時の事、初めて若いころの皇帝陛下やマインホフ元帥と出会ったこと、その2人との数々の放蕩。借金取りに皇帝陛下と間違えられ頭から泥の中に叩き込まれたこと、放蕩が過ぎて父親から勘当を言い渡されそうになったこと、軍人となって慣れないながらも軍務省などに努めたこと、始めて戦場に出た時の事、結婚をし最初の子供を授かった時の事、妻が死に、息子が戦死した時の事、孫であるエステルが家に初めてやってきたときの事、そして――。
あのアレーナ・フォン・ランディールと初めて対面した時の事をグリンメルスハウゼン子爵は思い出していた。この帝国の行く末をアレーナがどうするかはグリンメルスハウゼン子爵にはわからなかった。だが、良かれ悪しかれ彼女が望んだ生が全うされ、願わくばエステルともどもこの動乱を生き抜いて宇宙を駆けて行ってほしいと願ったのだった。
忘我の境地に沈みこんで、広大な夢の海に浸っていたグリンメルスハウゼン子爵は不意にさらに意識が重くなるのを感じた。
(さらばじゃ、エステル、アレーナ。お主たちとお主たちが支えようとする者の大望をヴァルハラで見守っておるでな。大神オーディンよ・・・・。今おそばに
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