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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
511部分:第七十二話 来たるべき戦いその四

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第七十二話 来たるべき戦いその四

「その場合はだ」
「ってまさか」
「そんな人間いませんよ」
 彼等は笑ってそれは否定した。
「そんな無茶苦茶な人間が」
「いる筈ないじゃないですか」
「百人ですよ、百人」
「有り得ませんよ」
 口々に話すのだった。
「そんなオットセイかマントヒヒみたいなおっさん」
「いたら怖いですよ」
「なあ」
「どんだけ女好きなんだか」
「普通はそう思うな」
 まさにその通りだという彼等だった。やはりそんな人間はいないと確信していた。
 そしてその彼等にだ。アイオリアはまた言った。
「それならそう思うといい」
「まあ有り得ないですからね」
「そんな変態」
「いや、確か」
「そうだったな」
 しかしここでダイダロスとダンテが言った。
「神話にはな」
「いた筈だ」
「ヘラクレスもかなりの子供を持っていたがな」
「それでも百人の子供の父親というのも確かにな」
「そうだったな。誰だったか」
「はっきりと名前を思い出せないが」
 そこまでははっきりと言えない彼等だった。しかしこう言うのだった。
「それでもだ。途方もないことだけは事実だ」
「子供を一人で百人作るとなるとな」
「その途方もないことをした人間がいればだ」
 何故かアイオリアは妙に現実味のある様に言うのだった。
「現実にいればだ」
「だからいませんって」
「そんな奴は」
 やはり信じようとしない山鬼にイロコイだった。
「そんな百人って」
「十人でも凄いのに」
「確か多いので五十人とかだったな」
「ああ、そうだったな」
 オックスとクルトは歴史から言った。
「普通はそれで滅茶苦茶多いよな」
「五十何人とかでな」
「ですからアイオリア様」
「どうも実際に百人となると」
「それならそう思っておくことだ」
 青銅の者達に対して返す言葉はそれだけだった。
「だが。言いはした」
「そうですか」
「それは」
「言った。そしてそれを実際に知った時にはだ」
 言葉は忠告めいてさえいた。
「決して驚かないことだ」
「まあ。それでしたら」
「そうしますが」
「世の中途方もないことをできる人間もいるのだ」
 やはり何かを知っている言葉だった。
「実際にな」
「そういえばですが」
「アイオリア様」
 ここでダンテとダイダロスは彼等にしてみれば今の話とはこれといって関係のないようなことを彼に対して問うのであった。そう、あくまで彼等が思うにはだ。
「その辰巳さんのグラード財団ですが」
「総帥は城戸光政氏でしたね」
「あの男だ」
 アイオリアは俯いたまま述べた。

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