最終話 みんなの笑顔
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翼が風を切り裂く轟音。吹き抜ける風。その「余波」が、地上に降りたゼナイダとジャックロウの頬を撫でる。
「そ、んな」
その突風を巻き起こす、赤い縁取りのコスモソード。白銀の機体を超高速で運ぶ、その加速タイプの流線型フォルムは――士官学校の教科書で何度も見かけた。
そればかりか、この宇宙――コズミシアを救った救世主として、その機体を模した銅像を毎日のように見てきた。
――その「実物」が、記憶にある姿と寸分違わぬ佇まいで、青空を駆け抜けている。その超常的な光景が、ゼナイダに激しい衝撃と動揺を齎していた。
死を賭して軍神と祀られた、ラオフェン・ドラッフェは生きていた。それも、このような辺境の惑星で――曲芸飛行士として。
そのような受け入れがたい事実を、強引でも認めさせるかのように。彼は、落下中の爆弾の信管だけを撃ち抜き、不発を成功させるという離れ業をやってのけた。
さらによくよく思い返せば、あの曲芸飛行で見せた大きな「WELCOME!」の航跡文字も、加速タイプの弱点である旋回性能の低さが原因だとすれば……文字の異様な大きさに説明がつく。
(……まさか、母上が私をここへ派遣したのは……!)
もし、この事実を母が把握していたのなら――ラオフェン・ドラッフェがこの星にいる可能性に、以前から気づいていたのなら。自分がここへ遣わされたことにも合点がいく。
全ての状況が噛み合い、ゼナイダは――明るみに出た現実に、為す術もなく打ちのめされ。愕然とした表情で、両膝を着くのだった。
(……わ、私……かの伝説のエースパイロットに、なんたる無礼を……)
そして今になって、自分が伝説のラオフェン・ドラッフェを相手に、どれほど尊大な態度で接していたか――という記憶が蘇る。ラオフェンが存命だったということさえ、今まで知る由もなかったのだから当然と言えば当然なのだが。
頭を抱え、声にならない叫びを上げて悶絶するゼナイダ。そんな彼女を他所に――
「おほぉ!? なんか外ヅラがベリベリ剥がれてカッチョいいコスモソードが出てきたぞ!? なんかよくわかんないけど、まぁいいかやっちまえカケルぅう!」
「うっそ! カケルの飛行機ってコスモソードだったの!? ――すっごい! よぉし、やっちゃえカケルーっ!」
――情報がまともに届かない、辺境惑星特有の感性ゆえ。
ラオフェン・ドラッフェの偉大さを今ひとつ理解していない地元民のカリンとアイロスは、コスモハンマーから身を乗り出して、諸手を挙げながら歓声を上げていた。まるで、曲芸をせがむような声色で。
「あ……あなた達! あのコスモソードのパイロットを何方と心得て……!」
「――あれでよいのです少尉殿。少なくともカケル自身は、そう望んでおるはず」
「マーシャ
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