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超速閃空コスモソード
最終話 みんなの笑顔
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ェン・ドラッフェを求めている。でも、ここには竜造寺カケルしかいない。それだけのことです」

 それに対応するように、カケルも口を開き――やがて。
 穏やかな――そう、「いつも通り」の。華やかな笑顔を浮かべ、言い切って見せる。

「オレはこのポロッケタウンに花いっぱいの笑顔を振り撒く、曲芸飛行士ですから」

「……!」

 その満面の笑みと、初めて会った時と変わらない言葉に。ゼナイダは目を見開き、その笑顔を見つめる。
 初対面の時は頭の悪い発言とした、その言葉は――幾多の戦いに苛まれた少年が、それでも最後まで見放さなかった自分自身への「希望」だったのだと、ようやくわかったからだ。

「――そう。わかったわ。ひとまず、今日のところはお暇させて頂きます。セドリックの護送もあることですし」
「わかって貰えましたか」
「勘違いしないで。今日のところは引き下がる、というだけのことよ。私は、あなたを決して諦めない。――万一、この基地のパイロットに欠員が出た場合。あなたには補充戦力として、軍に戻って頂きますから」
「欠員?」

 厳しい表情で自分を睨むゼノヴィアに対し、カケルは要領が得られないとばかりに小首をかしげる。そんな彼に対し、歴戦の知将はさらに言葉を畳み掛けた。

「そう、欠員です。――例えば、この基地のパイロットが『妊娠』してしまい、そのパイロットが軍務を続行出来なくなった場合。あなたにはその穴を埋めて頂かなくてはならないわ」

「……〜ッ!?」

 刹那。母の発言から、その意図を察したゼナイダは顔を真っ赤に染め、カケルの凛々しい横顔を見つめる。動揺のあまり、暑さとは無関係の汗が全身を伝った。

 ――母は、娘を救世主ラオフェン・ドラッフェの妃とすべく、自分をここへ遣わしていた。

 「妊娠」ができる――つまり「女性」であるパイロットは、この基地には自分しかいない。
 その事実に全ての疑問が解消され、その意味が齎す重さに、生真面目さに隠れた純情な乙女の感性が悲鳴を上げる。

(わ、わた、私が……ラオフェン・ドラッフェ大尉の子を……!? わ、私、私は……!)

 すると――当のラオフェンことカケルが、こちらへと視線を移した。自分と目を合わせる伝説の英雄の眼差しに、心臓が跳ね上がるような衝撃を受け――先ほどのやり取りもあり、緊張が極限以上に張り詰めてしまう。
 あまりの事象ゆえ、もう気絶してしまった方が楽なんじゃないか。そんな考えまで過るようになった時――ふと、視線を外したカケルは。

「……だってさ。そんなことしちゃダメだよおじさん」
「なんでワシなんじゃ!」

 間抜けな声色で、ジャックロウに的外れな警告を飛ばすのだった。眉をへの字に曲げ、「めっ!」と注意する彼に、老兵は短い手足をバタバタ
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