第3話 エースパイロットの目醒め
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はしきりに砲手席から彼の頭を踏みつけながら、レーザー砲による対空射撃を続行していた。
「――とにかく、奴が体勢を立て直す前に仕留めるわ! 長引けば、機動性で劣る彼女達が危ない!」
『了解じゃ!』
退役して数十年を経た骨董品の戦車とはいえ、一介の保安官がこれほどの装備を隠し持っていたことに驚愕しつつ、ゼナイダはすぐさま気を取り直して攻撃を再開する。
ジャックロウもそれに追従し、黄色い縁取りで塗装された純白のコスモソードを走らせた。
航跡で弧を描き、背後に回る二機。その前方を飛ぶ宇宙海賊を狙い、レーザーが流星群となり襲い掛かる。
その全てを紙一重でかわしつつ、宇宙海賊は付かず離れずの距離を保ち――宙返りに移った。
「くっ――!」
当たってはいない。だが、もう少し。
その「『命中』に届きかけている」現状が、ゼナイダの焦りを駆り立てる。
『少尉殿、いかん!』
「――!」
もう少しで当てられる。そんな目の前の状況に、気を取られていたせいか。
同士討ちを狙った宇宙海賊の挙動に気付かず、そのまま追いかけてしまった彼女の眼前に――地上から放たれたレーザーが迫った。
咄嗟に機体を盾にして、コクピットへの直撃を避けたジャックロウのフォローがなければ、今頃は味方の誤射で撃墜されていただろう。
『と、父さぁああんっ!』
『大丈夫じゃカリン、心配するな! ――と言いたいところじゃが、さすがにコイツは手痛い! スマンが脱出する!』
『おいどーすんだよ! 爺さんやられちまったぞ!』
「……!」
次々と通信回線から飛び込んでくる情報が、さらにゼナイダの精神に焦りを齎していく。自分の迂闊な深追いが、部下を窮地へと追いやってしまった。
パラシュートで脱出する彼の光景が、その事実を重く突き付ける。気づけば、操縦桿を握る彼女の手は震えていた。
――戦況の悪化。味方に広がる混乱。自分のミスが招いた窮地。それら全てが、小さな肩に重くのし掛かり――正常な判断をさらに狂わせる。
『ゼナイダ! 危ないっ!』
「……!」
そして。身に降りかかる責任の重さゆえに「今」を見失った彼女では――宇宙海賊の攻撃を凌ぐことは出来なかった。
一瞬にして背後をとった漆黒のコスモソードが、容赦のないレーザーの雨を降らせる。為す術もなく蜂の巣にされて行くゼナイダ機。
カリンの対空射撃で、ようやく追い払った頃には――すでに彼女の機体は、飛行することすらままならない状況に陥っていた。
『ゼナイダ脱出して! あたし達でアイツを引き付けるっ!』
『お、おいおい無茶苦茶言うんじゃねぇよ! コスモソードが二機もやられたんだぜ!? 意地張ってねぇで俺様達も逃げ――いでぇ!』
『男がグズグズ言うんじ
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