第3話 エースパイロットの目醒め
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ックロウ機は――縦横無尽にこちらの攻撃をかわす相手の技巧に、苦戦を強いられていた。
「くっ……あ、当たらない……シミュレーションと全然違うッ!」
『少尉殿! 後ろに付かれておりますぞ!』
「わかってる!」
背後を取っても、こちらが確実に狙いを定める前に姿を消し、体勢を崩されてしまう。だが、狙いを怠り迂闊に撃っては、町に被害が及ぶ可能性もあった。
(なんなの、この海賊の動き……! 遠くに誘おうにもこちらの誘導には引っかからないし、その割りには町に手を出す気配はまるでない! かと思えば、しきりに町の上を飛ぶし――まるで行動が読めない! 奴は一体、何が狙いで……!?)
付かず離れず、といった距離で町の近くを飛び回り、迎撃に出たゼナイダ機とジャックロウ機と戦う。が、町に被害を及ぼす気配はない。
その一方で、二機には執拗な攻撃を仕掛けている。これでは戦う気があるのかないのか、今一つ判断がつかない。
『……少尉殿。こりゃあ恐らく、宇宙海賊は町から新手が出てくるのを待っているようですぞ!』
「なんですって!? ――そうか、確かに……」
どこか含みのあるジャックロウの物言いを訝しみつつも、ゼナイダはその言葉に確かな信憑性を感じていた。――「新手」が町から出てくるのを待っていて、その「新手」を誘き寄せるために町の近くを飛び回っているのだとすれば。
町の近くで戦う割りには、被害が及ばないギリギリの距離を保っていることにも説明がつく。いきなり町を破壊しては、「新手」と戦うことは叶わないからだ。
「でも、仮にそうだとして――宇宙海賊が動くほどの存在がこの町にあるだなんて……きゃあ!?」
その時。予想だにしない角度からレーザーが横切り、ゼナイダは思わず短い悲鳴を上げる。遥か下方――地面の方向から飛んで来たレーザーが、しきりに宇宙海賊のコスモソードを付け狙う。
意気揚々としたカリンの叫びが通信から響いてきたのは、その直後だった。
『ゼナイダ! 父さん! 住民の避難は大方終わったわ。ここからはあたし達のターンよ!』
「あ、あれはコスモハンマー!? あんな骨董品で戦うつもりなの!?」
『カリン!? なんじゃその色遣い! キモッ!』
『ちょ、キモいとか言うなぁあぁぁ! せっかく助太刀に来てやったっていうのにぃ!』
『てゆーか何で俺様が操縦士なんだおかしいだろ! 住民の避難終わってねーし! 俺様民間人だし!』
『うっさい穀潰し! 家賃も滞納してんだから、たまにはここで男見せて返済しろ!』
『イデデデデ! 砲手席から頭蹴るんじゃねぇ! チクショー! 生きて帰ったら訴えてやる!』
通信の向こう側から響き渡る、情けない男の嗚咽から察するに、アイロスも操縦士としてこき使われているらしい。
カリン
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