第3話 エースパイロットの目醒め
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めて――約三十分。異常事態に伴う情状酌量により、牢から仮釈放されたカケルは、懸命に脱出を目指していた。
僅かな灯りを頼りに長い登り道を疾走し、息も絶え絶えになる頃。ようやく、陽の光が視界に差し込んでくる。
「や、やっと出口か……ぜぇ、ぜぇ。本釈放されたら、設計者に文句言ってやるっ……!」
ふらふらになりながら、なんとか地上の事務所内にたどり着く。辺りはすでに無人となっており、自分が捕まるまでの喧騒が嘘のようだった。
「事務所内にも、道にも、誰もいない……。みんな、もう無事に逃げたみたいだな」
カケルは事務所から外へと足を運び、タンブルウィードが転がる音だけが響く街道を目の当たりにする。そこに至り、ある一つの疑問に行き当たった時――事態は動いた。
「――そういや避難って聞いてるが、みんな何から逃げたんだ? たくもー、コルトーゼさんったら肝心なこと……」
カケルの視界に飛び込む、この星ではあり得ない光景。青空の向こうに広がるそれを目の当たりにして、彼は言葉を失った。
――ポロッケタウンの町から、僅かに離れた場所で飛び交う、三機のコスモソード。
しかも、そのうちの一機は……。
「セドリックが……!? まさか!」
その光景に愕然となり、普段町の仲間達の前では、決して見せない鋭い表情に変貌する。次いで、弾かれたように駆け出し、民間飛行場へと急行し始めた。
「くそッ……!」
普段の彼らしからぬ面持ちで、空を見上げる視線は――激しく飛び交い、レーザー砲を撃ち合うコスモソード達の空戦を映していた。
町からやや離れた空域ではあるものの、いつここまで飛び火するかわからない状況だ。――何より、新任少尉と実戦から長らく離れていた老兵が、終戦近くまで最前線にいた宇宙海賊に対抗できる望みは薄い。
「――ッ!」
そこまで思考が追いついた瞬間、カケルは力任せに手錠を引きちぎり――避難経路とは真逆の道を疾走する。――民間飛行場を目指して。
「……!?」
――というところで、カケルはふと、足を止める。思わず走ることも忘れてしまうような物体が、視界に映り込んできたためだ。
ピンク一色に塗装された機体を運ぶ、錆び付いたキャタピラ。その異様な外装の戦車は、荒々しく土埃を噴き上げながら、砂塵の大地を進撃している。
――UI戦争が始まる以前から存在する、軍の広域戦闘車両「コスモハンマー」だ。近年ではすでに制式採用の座を降り、民間にも流れるようになった機体である。
それがこの町にも隠されていたことに驚愕しつつ――その異様なカラーリングに、カケルは暫し閉口していた。
「……なんだありゃ」
◇
一方、宇宙海賊のコスモソードに迫るゼナイダ機とジャ
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