第3話 エースパイロットの目醒め
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人的な恨みがある人間も襲う、気まぐれで行動が読めない危険人物としても知られている。
――その宇宙海賊が、ここへ来た。そこから予想される大惨事を予見し、ポロッケタウンの住民は突如現れた侵略者を前に騒然となっていたのだ。
「宇宙海賊ですって!? ――あ、あのコスモソードは……!」
「むむっ! こりゃあオオゴトの予感がするぞい!」
その緊急事態を受けてゼナイダと、ボロ雑巾のようになっていたジャックロウも飛び起きてくる。
「父さん!」
「わかっておる! コルトーゼ少尉殿、出撃ですぞ!」
「言われるまでもない! マーシャス保安官、あなたは住民の避難誘導に回りなさい! あなたの方が顔は広いでしょう!」
「わ、わかったわ! ――ほら手伝え穀潰し!」
「なんで俺様までぇえ! 俺様フツー保護対象じゃねぇえぇ!?」
ゼナイダは着任早々の初陣に緊張を走らせつつ、険しい表情を浮かべる。だが、プレッシャーに飲まれまいと声を張り上げ、カリンに指示を送った。
その鬼気迫る面持ちに、確かな覚悟を垣間見たカリンは、深く頷くとアイロスの首根っこを掴み、引きずり回しながら行動に移っていく。
その様子を見送ったゼナイダは、ジャックロウを率いて基地へ向かう――前に。事務所へ引き返し、牢の鍵を開けた。
モニターには、突然鍵を開けられ目を丸くするカケルの様子が窺える。
『おおっ! 鍵が開いたってことは……許してくれたんですねコルトーゼさん!』
「勘違いしないで。住民に避難命令が出ている以上、あなたをここに放置して危険に晒すわけにもいかないだけ。事が済めば、あなたには直ちにそこへ戻ってもらうから」
『え? 避難命令?』
「詳しく説明している時間はないわ。マーシャス保安官が避難誘導しているから、あなたはすぐに逃げなさい。いいわね」
『あっ、ちょ――』
だが、悠長にその様子を見ているわけにはいかない。すでに宇宙海賊が上空に現れてから、五分以上が経過している。
これ以上野放しにしていては、いざという時に迅速な対応ができない。ゼナイダは焦る余り通話を一方的に切ると、足早に事務所を飛び出して行く。
「行くわよマーシャス三等軍曹! 目的は所属不明機の確保、不可能である場合は撃墜!」
「了解じゃあ! ――セドリック・ハウルドか。ならば、奴の狙いは……」
「マーシャス三等軍曹、なにブツブツ言ってるの! 急ぐわよ!」
「わかっておりますぞい!」
その後ろに追従するジャックロウは、神妙な面持ちで空を走る青い鳥を見上げ――ひとりごちる。彼の胸中を知る者は、誰もいない……。
◇
「ひぃ、ひぃ……。あぁもう、なんで地下牢の階段って、こうも無駄に長いのっ!」
息を切らしながら、薄暗い螺旋階段を駆け上がり始
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