第2話 砂漠の惑星ロッコル
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「竜造寺カケルぅぅう! 逮捕だあぁあぁあ!」
「ちょ、待ちなさいゼナイダ! あんたこんなところで発砲なんか――ひゃあ!?」
それを止めようとしたカリンまで発砲され、慌てて伏せた彼女の頭上を、青白い閃光が突き抜けて行く。木造の壁に小さな穴を幾つも作りながら、暴走するゼナイダは酒場を飛び出したカケルを追い始めた。
◇
「と、とにかく民間飛行場が一番人が少ないはず! それにジャックロウおじさんに会わせれば、目的を思い出して落ち着きが戻るかも……ひぃ!?」
これ以上乱射させれば、酒場の常連客に当たる。そう踏んだカケルはなんとか人通りの少ない場所へ誘導するべく走り出したのだが――その後ろを走るゼナイダは、女性とは思えないほどの速さで肉迫してくる。
「や、やばい。ジャックロウおじさんに会っても正気に戻るかな、あれ……」
「逮捕するぅうぅう!」
「待ちなさいゼナイダぁぁあぁあ!」
さらにその後ろから、暴走機関車と化したゼナイダを追う女保安官。三人の壮絶な追跡劇は、道行く顔馴染みの町民達を唖然とさせる。
「お、おい。カケルの奴なにやってんだ? 二股? 修羅場?」
「見ねえ顔が光線銃持って追いかけてるぜ。多分あいつが浮気相手だな」
「カリンの奴もモテる男に惚れて大変だねぇ」
「おーいカケル、これに懲りたら女遊びもほどほどにしとけよー」
だが、基本的に自由奔放な住民が多数を占めるこの町では、捕り物も修羅場も珍しい光景ではない。すぐにいつものことと慣れてしまった彼らは、気ままに手を振り、最前線で決死の逃避行を続けるカケルをからかうのだった。
「ちょっ……ちょっとぉ! 全然そんな状況じゃないんですけ――ほぉあ!?」
「逮捕すりゅうぅぅうう!」
「いい加減にしなさいゼナイダぁあ! それ逮捕じゃなくて銃殺ぅうぅ!」
そんな能天気な住民達に突っ込む暇もなく、青白い閃光が頬や足元を掠める。一瞬の油断が命取りに繋がる状況に陥り、カケルは顎に冷や汗を滴らせた。
その元凶たるゼナイダを懸命に追うカリンは、胸を激しく揺らしながら汗を散らして街道を走る。自分の胸や尻を厭らしく見つめるギャラリーに、ガンを飛ばしながら。
――やがて。アリーナのように大きく広がったドームが、三人の視界に入ってくる。カケルの機体を含む民間機を格納する、民間飛行場だ。
その入り口近くでは、三十代半ばの仲間達と共に木箱に腰掛け、酒を意気揚々と呷る五十代の小柄な男の姿が伺えた。禿げ上がり、微かに白髪が残った頭と髭が特徴的だ。
「おん? なんじゃカケルか! おーい! お前も飲むか――って、んん?」
カケルの腰程度しかない身長の持ち主である彼は、カケルに気づくと陽気に手を振り始める。――が、その後ろの人影に気づく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ