第2話 砂漠の惑星ロッコル
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」
まるで容赦のない物言いを、一通りアイロスにぶつけた後。カリンは新顔のゼナイダに気づくことなく、カケルに目を移し――
「いらっしゃいカケル! 今日のフライトもかっこよかったよ!」
「あ、ああ、ありがとうカリン。でもアイロスがそこでしょぼくれてるんだけど……」
「いいのよコイツの笑顔は咲かせなくて。それより喉乾いたでしょ? 何か飲んでく?」
「いや、後でまた貰うよ。ジャックロウおじさん見なかった? 多分ここだと思ったんだけど、姿が見えなくて」
――態度を急変させて、華やかな笑顔で彼の腕に体を絡めた。まるで自分の匂いをマーキングするかの如くその肢体を擦り付けながら、彼を椅子へと案内しようとする。
その光景に歯ぎしりする常連客達を一瞥して冷や汗をかくカケルは、そんな彼女を制して用件を告げた。
「え、父さん? ……うーん。父さんだったら今頃、民間飛行場で飲み仲間とドンチャン騒いでる頃かな」
「オレの機体の近くでか? しょうがないな、もー……」
「あはは、ごめんねあんな父さんで。でも、父さんに何の用事? 急がないなら、ゆっくりしてってよ。あたし奢るから」
「おぃい! 奢る金あるなら酒場のツケくらい立て替えろよ!」
「黙れ穀潰し」
「ンだとォ!?」
「えっと、正確には用件があるのはオレじゃなくて――こっちの少尉さんなんだ」
しばらく内輪話で放置されていたゼナイダに、ようやくカリンは目線を合わせる。体にぴっちりと張り付いた、コズミシア星間連合軍のパイロットスーツを纏った彼女から、カリンはおおよその事情を察するのだった。
「ああ、なるほど。あなたが例の新しくポロッケタウンに来たっていう、軍のパイロットさんね? 初めまして、あたしは駐在保安官のカリン・マーシャスよ。よろしくね!」
そして満面の笑みとともに手を差し出し――握手を求めた。その好意的な挨拶に自分の手で応じつつ、ゼナイダは横目でカケルを見遣りながら問う。
「ゼナイダ・コルトーゼ少尉よ。……こちらこそよろしく、と言いたいところだけど。品性に欠けたその格好と言動を見るに、脳に必要なエネルギーを丸ごと乳に吸われているようね。町の治安は任せるから、私達パイロットの邪魔だけはしないでちょうだい」
「……は?」
その瞬間、カリンの表情から一瞬にして笑顔が消え去り。今にも腰の光線銃に手が伸びそうなほどの殺気が迸る。
悍ましい威圧に触れたカケルは、その状況から酒場の危機を察し、慌てて二人の間に割って入った。
「え、ええと! こっちはカリンっていう町の保安官さんで、アイロスの幼馴染なんです! この町唯一の軍人のジャックロウおじさんの一人娘で、明るく活発でいつもみんなの人気者で――」
「――どいてカケル。そいつ撃てない」
「ちょ、待っ
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