第2話 砂漠の惑星ロッコル
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軍用機を差し置き、翼を振って味方機であることを主張する民間機。その手慣れた動作や風貌に見合わない優雅な飛行に、ちぐはぐさを感じつつも――ゼナイダは促されるまま、着陸地点を目指した。
◇
「……最悪、だわ」
地上に降りて早々、出てきた言葉がそれだった。ポロッケタウンの駐屯基地――と読んでいいのか怪しいその場所は、タンブルウィードが飛び交う荒地も同然であった。
辛うじて機体を格納できるスペースはあるものの、ゼナイダ機を除くコスモソードはたったの一機。
入念に整備され尽くした格納庫に、所狭しと並ぶコスモソードの景観――というアースグランドの基地に馴染んでいたゼナイダにとって、このポロッケタウン駐屯基地の荒れようは目に余るものがあった。
派手な航跡メッセージでゼナイダを出迎えた民間機は、基地から離れた敷地に降り立っている。――どうやら軍用機らしからぬフォルム、というわけではなく本当に民間機だったらしい。
その非常識極まりない歓迎に、エリート出身の新米パイロットはさらに頭を痛めた。一体どれほど叩けば、文字通りの埃が出てくるのか――と。
「パイロットさーん! ようこそ、惑星ロッコルのポロッケタウンへ!」
そう考え込んでいるところへ、黒髪の青年が手を振って駆け寄ってくる。黒いライダースジャケットに赤いグローブを嵌めた彼は、派手な身振り手振りで自身の存在を主張していた。
端正な顔立ちではあるが、その立ち振舞いからは頭の悪そうな印象しか抱けない。即座に彼が、あの民間機のパイロットであると看破したゼナイダは、冷ややかな眼差しで睨む。
「……あなた、民間人よね。ここの正規パイロットは何をしているの?」
「えーと、すみませんパイロットさん。うちの人、多分今頃飲みに行ってる頃でして」
「うちの人って……。というか、こんな昼間から基地も空けて飲みに行ってるって、どうなってるのよこの星は」
「あはは……。まぁ、おおらかな人でいっぱいですから、この街は」
緊張感のない笑みを浮かべる青年の物言いに、ゼナイダはため息と共に額に手を当てる。あまりに非常識な町と基地と住民に、文字通り頭を痛めていた。
基地の外に乗機を泊めた彼が、ここに徒歩で来た――ということは、民間人の立ち入りすら容認しているということになる。つくづく、非常識。もはや基地という体裁を成しているとは言えない有様だ。
「あの人なら今も飲み屋にいると思います。近くですのでご案内しますよ」
「……悪いけどお願いするわ。先任から基地の情報も聞かなくちゃならないし。……それにしても、あなたは一体?」
「あっ、すみません! そういえば自己紹介もまだでした!」
青年はハッと顔を上げると、ゼナイダの正面に立ち――朗らかな笑顔を浮
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