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超速閃空コスモソード
第2話 砂漠の惑星ロッコル
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星に配属されることになった点にある。

 敬愛する母のような気高い軍人となるべく努力を重ね、齢十七で軍のパイロット課程を修了した彼女だが――曲がったことを絶対に許さない性質が、腐敗した上層部の不興を買う結果となっていたのだ。

 全宇宙にその名を響かせる女傑・コルトーゼ将軍の娘とあっては、生意気であっても無下には出来ない。そこで彼らは「治安の悪い僻地だからこそ、優秀なパイロットが目を光らせねばならない」と体のいい理由をつけ、彼女を辺境の惑星ロッコルに配属したのである。

 その真意に気づかない彼女ではなかったが、どのみち新任少尉の身では発言力などないに等しい。その上、母にまで「これも試練」と言われれば、従う他なかった。

(……しかし、妙だ。普段の母上なら、このような横暴は絶対に許さないはず。なのにこの件に限っては、是が非でも私をロッコルに行かせようとしているようにも伺えた。母上をそうさせるほどの何かが、あそこにあるとでも……?)

 どれほど思案しても、強く反発しなかったことを後悔しても。今の彼女には、前に進む以外に道はない。
 緑の機械仕掛けの鳥は、憂鬱な面持ちの主を乗せて、辺境の惑星へ向かっていく……。

 ◇

 惑星ロッコル。
 コズミシア星間連合政府の管轄下において、最も中枢から離れた小惑星である。
 他の惑星と同様に様々な種族が共同で生活できる環境であるが、その整備状況は類を見ないほどに劣悪であるとされ、専ら貧民層の溜まり場として、その地位を獲得している。
 近年は戦争終結に伴う落ち着きもあってか、治安も良好のようだが――それ以前は血で血を洗う無益な抗争が絶えなかったという。

(……なによ、あれ)

 そんな場所へ降り立つことになってしまった彼女の前には今――白い航跡で描かれた「WELCOME!」の文字が視界を埋めるように広がっている。燦々と輝く太陽の下で行われた、あまりにも大きく派手な出迎えに、ゼナイダは困惑を隠せない。

(……貧しさのあまり、頭がおかしくなってるのかしら。この惑星の住民は)

 そこからやがて生まれ出た否定的な感情に、ゼナイダは細い眉を吊り上げる。遠目に伺えるオンボロの民間機は、フラフラになりながら懸命に、青空に航跡のメッセージを描いていた。

 ゼナイダが着任する地点――小都市「ポロッケタウン」。その目的地への到着を目前にしての、この頭の悪そうな「大歓迎」であった。
 こちらを誘導するように飛ぶ民間機。あり合わせの素材を継ぎ接ぎで形にしたようなハリボテ同然のそのフォルムは、この星の貧しさを主張するかのようなみずぼらしさを放っている。

(本来ならば先任の駐屯パイロットが出迎えに来るべきでしょう? なぜこんなボロボロの民間機が……。もしや、これがここの軍用機…
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