第1話 ラオフェン・ドラッフェの伝説
[5/6]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ふざけんな……! このセドリック・ハウルドから絶対に奪っちゃいけねぇ『死に場所』を、この土壇場でぶん取るつもりか!」
「……わかってくれ。この作戦に、僚機はいらない。オレが単独で『ラスト・コア』の防御網を突破し、奴らの最後の『核』を撃つ。たったそれだけの内容なんだ。これは決死隊も同然だし、いくら報酬が出たところで死んだら割に合わない。だから、もうお前を傭兵として雇う意味はないんだよ」
あくまで諭すように。ラオフェンはセドリックと名乗る男を見上げ、宥めようとする。その態度が、さらに火に油を注ぐ結果を招いた。
銀髪の男は少年の背を機体に押し付け、さらに圧力をかける。
「俺は金目当てでこの艦隊に加わったつもりはねぇ! 宇宙最強のパイロットだった俺を打ち倒したお前と、今度こそ決着を付けるために! 戦争が終わるまで付き合えないって抜かす、お前ともう一度戦うために! 宇宙海賊を休業してまでここに来たんだぞ! だのにてめぇは最後に死んで勝ち逃げか! 契約不履行だぞゴラァ!」
「聞くんだ、セドリック。お前が以前、脱走兵からぶんどったって言うコスモソードだが――あれは旋回性能に特化した格闘戦タイプだ。オレの乗機はそこを犠牲にして、UIの防御網を抜けるための推進力に特化した加速タイプ。そもそも土俵が違うし、今までだってそうやって適材適所で戦ってきたはずだろう」
かつて私腹を肥やす有力者ばかりを狙う義賊だったセドリックは、命惜しさに軍から脱走したパイロットからコスモソードを奪っていた。
その後。彼は正規訓練を受けていない身でありながら、巧みなセンスでその機体を乗りこなし、ラオフェンを擁する艦を襲ったが――格闘戦タイプに改修した彼のコスモソードに返り討ちにされた。
以来彼は、ラオフェンと再び雌雄を決するために彼に同行し、共に戦うようになっていた。金で軍に雇われた傭兵、という体裁で。
だが、ラオフェンのコスモソードはセドリックと一度戦った時を除く全ての作戦で、推力特化の加速タイプだけで戦っている。格闘戦タイプのコスモソードでは、UIの防御網は突破できないからだ。
そんな彼の進路を切り開くため、格闘戦タイプの旋回性能を駆使してUIの尖兵達を撹乱する。それが、いつものセドリックの役回り。
しかしこの作戦においては、ラオフェンの単独行動が主となる。よって、セドリックが加わる意味はないのだ。
「俺が正規の軍人じゃねぇから……幾ら積んでも割に合わないから、出るなっつーのか!? お前一人で奴らの大群を抜けようってか、死に急いでんじゃねぇ! ……だったら俺も今この場で軍人になってやる、書類をよこせ!」
「そんな手続きをする時間も、必要もない。――勝負なら、生き延びたお前の勝ちだ」
「ふざっ……けんなっつってんだろうがッ! そんな
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ