暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
これはレディーですわ。
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ニャ・コラーダになるし、ウォッカを足せばチチというカクテルになる。試してみよう。

「う〜ん、このココナッツミルクの独特の風味が、まさにトロピカルよねー。」

「うむ。ところで提督、ぴ……ぴにゃ?ぷにゃ?こらーだとはどういう意味だ?」

 横文字苦手な那っ智可愛い(ノ≧▽≦)ノ

「ピニャ・コラーダな。スペイン語で『裏漉ししたパイナップル』って意味だぞ、確か。」

「流石に博学だな。」

「まぁな。好きこそ物の上手なれ、って奴さ。」



「しかし……暁が羨ましいよ。」

 ピニャ・コラーダを啜りながら、那智がそう呟いた。途端にむせかえる暁。

「ふぇっ!?ななな、何言ってるの那智さん!?」

 赤くなってドギマギする暁を尻目に、那智はクスリと笑って更に続けた。

「だって、私と同じ四姉妹の長女として妹達を取り纏めているし、自分の向上心も落ちる事がない。私には、暁がその名の通りに眩しく見えるよ。」

「何言ってるのよ那智さん!那智さんは立派なレディーじゃない!」

 顔を真っ赤にして那智の発言を真っ向から否定したのは、誰あろう暁だった。

「那智さんは私達をどんな時だって身体を張って護ってくれるじゃない。自分が大破しようとお構い無しで他人を守れるなんて、とってもレディーな振る舞いだと思うわ。」

 そうだよ、そうなんだよな。暁は普段ポンコツ(ヒドい)だけど、たま〜に凄く良い事を言うんだよな。それが常に出せれば、一人前のレディーだと思うんだが、それにはまだまだかかりそうだ。

「さて、そろそろ店仕舞いだ。これを飲んでお帰りになられては?二人のお姫様。」

 そう言って差し出したカクテルグラスの中身は「シンデレラ」。パイン・レモン・オレンジジュースを同じ量だけ入れてシェイクし、原料と同じカットフルーツで飾った見た目にも華やかなカクテルだ。更にそれをソーダ水で割り、爽やかさをプラスした。

 気付けばもう時計は12時を回っている。さぁ、舞踏会は終わりの時間だぞ?

「ふふ、そうね。夜更かしはレディーの大敵だもの。ねぇ、那智さん?」

「そうだな。じゃあこれを飲んだらお暇するとしようか。じゃあ、小さなレディーに乾杯だ。」

 そう言って二人はグラスを軽く打ち合わせ、飲み干すと席を立っていった。あれだけ酔っていた那智の足取りも軽やかだ。どうやら、小さなレディーの活躍のお陰らしい。

 そして翌日、第六駆逐隊の部屋から雷の怒鳴り声が聞こえた気がしたが、俺は何も聞いていない事にした。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ