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詩集「棘」
憂鬱にさせる初冬の雨は

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追いかける幻…
願いは儚く霧散する
捉え所のない澱んだ空は
僕の心へ愁いを運んで…

時雨に霞む街並み
絶え間無く流れる時間
溢れ出る恋しさに…
ただじっと…耐えるだけ…

憂鬱にさせる初冬の空は
心の奥まで凍えさせ
鈍色の雲に果てはない
他人事のように吹き行く風も
枯れ葉をゆらし消えてゆき…


届かない星影…
希望は冷たく凍りつく
がんじがらめの日々…募る想い
淋しさだけが世界に蔓延る…

割り切ることの出来ない
口に出せない恋心…
未来へ続く道は
闇の中…見透せず…

憂鬱にさせる初冬の空は
哀しみさえもそぼ降らせ
モノクロームの風景は
小さく歪んで悲鳴を上げて
端からそっと罅割れる…


憂鬱にさせる初冬の空は
想いを揺らし惑わせる
恋しい影さえ滲ませて
叶わぬ望みの虚しさだけを
胸へと刻みつけて行く…

憂鬱にさせる初冬の空は
心の奥へと染みてゆく…
想いに触れて雲となり…
遠く流れていつかは君へと
愛しさ降らせることでしょう…





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