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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百九話 ガイエスブルク要塞へ
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皆が顔を見合わせた。訝しげな表情をしている。おそらく自分もそうだろう、何故此処で反乱軍が関係してくるのか……。
「同盟領内で主戦論者による帝国への出兵論が力を付けつつあるようです」
「しかし出兵すれば捕虜交換は白紙になります。戦力の回復を願う反乱軍にとって出兵は何の利益も無いと思いますが?」
会議室がざわめく中、クレメンツが疑問を提起した。私も同感だ、同盟は何を考えている? 皆の困惑が更に深まった。
「同盟はフェザーンへ進駐しました。事実上フェザーンは同盟の占領下にあります。つまり同盟はイゼルローン、フェザーンの両回廊を得た。こちらとしては減少した同盟の戦力をイゼルローン、フェザーンの双方にさらに分割する事が出来た、より有利になったと考えていたのですが、同盟では違う事を考えた人間がいたようです」
まだ良く分からない。思わず司令長官に問いかけていた。
「違う事と言いますと?」
「このまま帝国の内乱が長引けば捕虜交換に頼る事無く両回廊を保持したまま戦力の回復が図れる、そう考える人間が同盟に居るということです」
司令長官の言葉に会議室がざわめく。なるほどようやく話が見えてきた。
「それで出兵論ですか、帝国の混乱を助長しようと」
私の言葉に司令長官は頷くと話を続けた。
「拙い事に貴族連合は未だ十五万隻もの大軍を保持しています。彼らと連合すれば内乱を長期化する事が出来る。そしてフェザーンを利用して経済を再建する。そうすれば帝国との協調など必要ない。同盟は両回廊を制圧し、以前よりも強大な戦力を保持できる……。同盟内部の主戦論者、そしてフェザーンの経済力に目を付けた財界人が出兵論を展開し始めたのです」
「同盟政府はどう考えているのでしょう。こちらに知らせてきたと言う事は信用して良いのでしょうか?」
ロイエンタール提督の問いかけに司令長官は僅かに首を傾げた。どうやら司令長官は同意見ではないらしい。
「難しいところですね。彼らはフェザーンから手を引きたがっている。戦力が二分されるのは危険だと考えているのです。こちらに知らせてきたのは敢えて誇大に言う事で我々に貴族連合の戦力を早期に撃滅させ、国内の主戦論者、財界人を抑えるつもりではないかと考えています」
彼方此方で呻き声が上がった。
「その方が同盟にとって利益になる、そう考えているのでしょう。当然ですが出兵したほうが利益になると考えれば躊躇う事無く出兵してくると思います」
「なるほど、辺境星域の平定を一時中断して貴族連合の本隊の撃滅を図るのはそれが理由ですか。そうなると余り時間をかける事は好ましくありませんな、反乱軍にこちらが内乱の鎮圧に梃子摺っている、そう思われかねません」
「その通りです、レンネンカンプ提督。我々はこれからガイエスブルク要塞に向かいま
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