人形-マリオネット-part6/二つの心
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綺麗にしておいた方がきっと気持ちがいいはずだし、自分も趣味で行っている実験に使えそうな器具も隠れているかもしれない。
明かりをつける魔法で暗闇の地下室を照らしながら、コルベールは地下室の奥を進んでいった。物置ということもあって、あまり整理されていなかった。あちこちに使われなくなった机や椅子、棚などが放置されている。中には棺桶のようにも見える不気味な石の箱も放置されていた。
これはなかなか骨が折れる作業になりそうだ、とコルベールは思った。
だが、そんなコルベールのもとに、奇妙な現象が発生した。
「む?」
彼は眼鏡をかけ直しながら、地下室の奥の方に視線を向ける。
なんだろう、何かがうごめいているようにも見える。いや、この学院にいる動物がいるといっても、生徒が契約した使い魔くらいだ。ましてこの地下室は許可がないと開けられないはずだ。
なら、あの暗闇の中で動いているものは、いったい…?
「そこにいるのは誰なのかね!?」
コルベールが叫ぶ。しかし、返事はない。暗闇の奥に見える奇妙な何かの動きはそのまま続いていた。コルベールは魔法で付けた明かりを頼りに、用心しながらそれに近づいていく。
「これは…!?」
彼は目元を険しくさせた。明かりで照らされた、暗闇の奥に見えていた奇妙な何かの正体…それは、空気中にできた『歪み』だった。
これは何かの魔法だろうか?いや、長年の勘もあって、これは自分たちにとってなじみ深い四大系統魔法とは根本的に異なるものだとわかる。しかし、いったいなんなのだこれは?興味をそそられるが、迂闊に触れるのはまずいだろう。ここは一度学院長に…と思って、引き返してオスマンに報告しようと思った時だった。
ドシュン!!という聞きなれない音と共に、何かが飛び出してきた。
「うぬお!?」
思わず驚くあまり、素っ頓狂な悲鳴を漏らしたコルベール。飛び出した『それ』は、歪みから射出された衝撃で、放置されていた棚に突っ込んでしまう。
今度はなんだ?舞い散る埃を払いのけ、衝撃で粉々になった棚の破片を取り除きながら、コルベールは杖を構えて歪みの中から飛び出してきた何かに近づく。
最後の木片を除けた時、コルベールは衝撃を受けた。
それは、若い人間の男だった。黒い髪と、黒い上着と赤いシャツを着こんだ、そして腕には奇妙な装飾品を付けた若者だった。
意識は、見たところないようだ。
サイトやハルナと同じ黒い髪の男。思えば、服装もハルケギニアでは見かけられるものではなく、あの二人のものに似ている。
「もしかして、彼は…」
サイトは、他にも地球という世界の知り合いがいるといっていた。それにアンリエッタがサイトたちに、対怪獣対策部隊への編入を申し出て、自分やオスマンを交えた会談を行った時に、その名前を聞いたことがある。
歪みから現れたその男は…
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