人形-マリオネット-part6/二つの心
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いる』
彼女の行方がつかめないのなら、今できることをするしかない。サイトはゼロの言葉で少し落ち着いた。
「…いえ、大丈夫ですよ。俺個人の勝手な動きでみんなに迷惑がかかったりするのは」
サイトは、アンリエッタには気に病まないように言った。
『でも、ゼロ。お前だって似たようなもんだろ?』
『え?』
『忘れたわけじゃないだろ。あの岩の街のこと』
『…あぁ』
ゼロからはあまり乗り気じゃないというか、後ろめたい声が聞こえてきた。
ワルドとの共同任務で、ネクサス=シュウの忠告を無視し、可燃性の花粉を体の中に詰まらせたビースト『ラフレイア』を必殺の蹴りで爆散させたことで、爆風があの街に壊滅的被害を与えてしまった。ラ・ロシェールの街は、ゼロの汚点の象徴なのだ。
『行こう、あの町へ』
今一度…向き合わなければならない。かつての自分が犯した…『罪』と。
その頃、魔法学院。
「では、教科書の103ページを開いてください」
教室では、この日も授業が行われていた。
新学期が始まってから、あまり多くの生徒たちが戻ってきておらず、例年と比べると少々ガランとしているのを、授業を行っていたコルベールは感じた。
女王からの命令とはいえ、ルイズたちがいないだけじゃない。
授業に参加している生徒たちの顔にもあまり元気が見られない。ここしばらく、このトリステインには怪獣や黒い巨人に異星人、さらには同じ人間であるレコンキスタが彼らと繋がりを持ち、人間では手に負えないほどの脅威が迫っている。それを恐れてまだ実家に留まったまま登校してきていない生徒たちが多いのだ。
(寂しくなったものだ…ここも)
授業はいつも通り行い、終了時間と共に生徒たちは教室を後にした。しかし、去り際の生徒たちの顔は…何より自分の顔があまり晴れやかと言えなかった。
(サイト君や、ミス・ヴァリエールたちは大丈夫だろうか…女王陛下からの任を賜ることは確かに貴族として栄誉あるものだとは思うのだが…)
アンリエッタからの任務を引き受けていることもあり、いつもならいるはずのルイズたちがいない。最近は亡きモット伯爵の屋敷に続き、また王都に怪獣が出現したとか。そんな危険な場所に、愛する生徒たちが身を投じている。まだ若い彼らが、危険な戦いに赴くなどあってはならないのに…。コルベールはそんなあるべき常識を許さない現実に、強く葛藤を覚えた。
授業が終わり、彼は自分が寝泊まりと趣味の実験に使っている小屋へ教材を置いた後、気晴らしに前々から思っていたことをやろうと思い、学院の地下の物置に足を運んだ。
「うぅむ…なんという埃被った場所なのか」
ここは結構広いスペースだが、長い間使われなかった結果、埃が雪のように降り積もっていて辛い。だからいずれ掃除をしておこうと考えていた。生徒や教師たちも
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