仮想現実に閉じ込められたアラサーの私
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介護態勢のもとに置かれる筈だから、安心してゲーム攻略に励んでほしい、と。
曰く、このゲームのヒットポイントはその意味を現実になしえ、ヒットポイントが零になった瞬間、同じく現実でも死ぬ、と。
曰く、アインクラッド最上部、第100層まで全部攻略したら、ようやく解放される、と。
正直、信じられない。が、このゲームの開発者が言った言葉なのだし、信憑性は恐ろしい程に高い。
まあ、これも一つの現実であって、一つの現実に過ぎず、一つの現実でしかない。そう、この状況を、いかに打破していくのかが大切だ………と、言いたいところなのだが………。
私、一人暮らしだよ? 119番してくれる人がいないよ? 栄養失調と飢餓で死んじゃうよ? ナーブギアで電子レンジ以前の問題だよ?
あー、どうしよう。
でもまあ、それはそれでいいか。現実の私はもうどうする事もできないのだし。餓死するまで精々頑張っていこうじゃないか。恐らく、私は残り3日の命だ。水分を摂取しなければ、3日で死ぬとの事だ。地球上のほとんどの生物は、水無しでは生きていけないのだ。
『それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠をお見せしよう』
何やらアイテムストレージに何かあるようなので、確認した。
表示されたアイテムは…………《手鏡》。
こんな物で一体何ができると言うのか。それとも何かの罠だろうか。《手鏡》をオブジェクト化するのを躊躇っていると、
「お前がクラインか!?」
「おめぇがキリトか!?」
という叫び声が真横から聞こえた。
何があったのかと思い、真横を見た。
そこにいたのは、あどけなさを残す中性的なな顔立ちをした少年と、無精髭を生やした野武士のような男だった。
なるほど。この《手鏡》というのは、現実であるという証拠とだけあって、丹精込めて作り上げたアバターを現実の世界のまんまにしてやろうという魂胆らしい。なるほどなるほど、キャリブレーションはこれの為の動作だったのか。
周りは、何というか、その、とにかく酷い。そして男女比が著しく変わった。要は男だらけになったのだ。やはりネカマがいたか………何だろう、ある意味凄く惨たらしい光景なのに、自然と笑いが込み上げてきてしまう。これは、当然の行動といっていいんだよね?
『……以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る』
そして周りは、阿鼻地獄と化した。
確かに当然と言っていい行動だが、私としては、ただ煩いだけでしかなかった。
残念ながらこれも一つの現実。受け入れる他無いだろうに。こんなところで泣き叫んでいても、何も始まらないではないか。
現実はそう甘くないのだ。こういうテロ行為にまさか自分巻き込
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