暁 〜小説投稿サイト〜
SAO《サルベージ・アラサーお姉さん》
仮想現実に閉じ込められたアラサーの私
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るのだろうし、これは金銭的損害だろ?」

 確かに冷め切ったピザは、お世辞にも美味しいとは言えない。ピザは熱い内に食べるのがベストなのだ。

「…………冷め切ったピッツァなんてネバらない納豆以下だぜ…………」

 納豆菌が働いていないか、死んでしまったんだろうな。いや、納豆菌は繁殖力が強いと聞くし、納豆菌自体死んでしまう事は無いだろう。という事はつまり、その納豆の納豆菌は、働いていない、つまりは怠けているのだ。許せん。私はちゃんと上の命令を聞いてしっかり働いているというのに、許せん……!!
 ……ストップ。何で納豆菌ごときで熱くなってんだか。納豆菌に熱くなっても今の現状は打破できないし、何か馬鹿馬鹿しくなってきた。うん、止めよう止めよう。こんなの考えても無駄無駄。時間の無駄遣いにして人生の無駄遣いだ。まあこのゲームも、私の裁量によっては無駄になってしまうのだが。

「何はともあれ、この状況なら運営は一度サーバーを停止させて、プレイヤー全員を強制ログアウトさせるのが当然の措置だ。なのに……俺達がこのバグに気づいてもう十五分は経っているのに、切断される事も無く、かと言って運営のアナウンスが無いのも不自然だ」
「む、言われてみりゃ確かにそうだな」

 確かに、不自然だ。
 やはりこのバグは、人為的なものなのだろうか。人為的なものなのだったとしたら、それは最早バグではなくなってしまう。
 バグであって欲しいと、私は思った。

「……SAOの開発運営元の《アーガス》と言やぁ、ユーザー重視のゲーム会社だろ。そういった信用もあって、初めてリリースするネットゲームであんな争奪戦が勃発したんだ。なのに、初日でこんなでけえポカやっちゃ意味ねぇじゃねぇか」
「全くの同意だ。それに、このSAOというゲームはVRMMOっていうジャンルの先駆けでもあるし、ここで問題起こしたら、ジャンルが規制されるかもしれない。プレイヤーにして見れば、洒落じゃ済まされないよな」

 まあ、今のこの事態も洒落じゃ済まされないけどね。ログアウトできるようになったらYahoo!ニュースでも見てみよう。
 ………それにしても、真っ赤な夕焼けが綺麗だ。ここが仮想世界であるという事を忘れさせられる程、綺麗な夕焼けだった。
 見惚れるのと、鐘の音が響き渡るのは、言うまでも無く同じタイミングだった。



 曰く、ログアウトできないのはこのゲーム本来の仕様である、と。
 曰く、外部からナーブギアの停止或いは解除を試みた場合、電子レンジの要領でもって脳を蒸し焼きにして殺す、と。
 曰く、先述を無視しナーブギアの強制除装を試みた例があり、結果既に213人が仮想世界からも現実世界からも去っていった、と。
 曰く、二時間の回線切断猶予時間の内に病院などへと搬送され、厳重な
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