仮想現実に閉じ込められたアラサーの私
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ログアウトボタンが無いのだ。消失して消滅したのだ。これはどのゲームにも決まって存在するバグなのか、それとも、人為的なものなのか。
いや、これは人為的なものではないだろう。もしこれが人為的なものなのなら、10000人という膨大な数のプレイヤーをまとめて監禁した事になってしまうし、それと同じような意味でこれが人為的でない監禁だったとしても、10000人を閉じ込めたという事には変わりないし、運営は多大なる非難を受ける事だろう。
「ま、今日はゲームの正式サービス初日だし、こんなバグも出るだろ」
そう思いたいものだけどね。
「そんな余裕かましてていいのか? 五時半にピザが届くんじゃなかったのか?」
「はっ!!」
クラインがアンチョビピッツァとジンジャーエールがぁーと喚いていたが私はそれを完全に無視し、先程キリトからレクチャーした内の一つ、GMコールをしてみる。
………………………。
反応が無い。
もう一度GMコールをしてみる。
………………………。
応答が無い。
これは、あれか? とんでもない数のGMコールを運営に集中しているので、返答が遅れているのだろうか。こういうのは大体返答用テンプレートを予め用意しておくものなのだが、このゲームの運営はそれを怠っていたのだろうか。というかそもそも用意する気なんて更々無かったのだろうか。
どっちにしろ、返答が無いのには変わりない。
「……じゃあ、結局のとこ、このバグが直るか、向こうで誰かが頭からギアを外してくれなきゃ、ログアウトできねぇって事かよ」
キリトと話していたクラインが、そういう。
…………私、一人暮らし……。
「でも、オレ、一人暮らしだぜ。ティグはどうだ?」
「ん? ああ、俺も一人暮らしだよ」
「お、同じか。じゃあキリト、おめぇは?」
問われたキリトは少し迷う素振りを見せ、やがて答えた。
「……母親と、妹と三人。だから、晩飯になっても降りてこなかったら、ナーヴギアを強制的に外されると思うけど……」
「おぉ!? キリトの妹さんて幾つ?」
いや着眼点そこかよ。モテないんだろうなあ。まあ、私が言えた口ではないが、しかし私の場合、そもそも彼氏とか結婚相手なんて欲してないし、そもそも必要無いし。生きるにあたってパートナーなんて存在、必要無いんですよ。
「…………………それにしても……変だとは思わないか?」
キリトは話題を、結構無理矢理だが変えた。確かに、自分の妹に言い寄ってくる奴に対して、いい思いはしないだろう。
「まあな。ログアウトできないバグなんて聞いた事ねぇもんな」
「ああ、こんな《ログアウト不能》なんて問題、今後のゲーム運営に大きく関わる大問題だよ。実際、お前が頼んだピザは今頃冷め切ってい
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