仮想現実に閉じ込められたアラサーの私
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ガムテープはカッターナイフで切断。
果たして、遂に中身が姿を現した。
しかし、これは……、
「……ナーヴギア?」
ナーヴギア。
民生用VRマシンの初号機。形状はキックボクシングとかで付けるヘッドギアを金属にしてスタイリッシュにした感じ。作ったのは確か、茅場晶彦とか言う奴だっけ?
まあそんな事はどうでもいいとして。
そうだそうだ、思い出した。
確かこれは、自分の誕生日プレゼントとして、自分で買ったんだっけ。少しずつ使っていた夏のボーナスも残り半分を切っていて、全部パーっと使って何か大きな買い物をしたいななんて思っていたら、10月31日に何やらVR技術を駆使したゲームが発売されるという話を聞いて、発売日が自分の誕生日と同じだったから、これも何かの縁だと思って(そして自分の誕生日プレゼントとして)買っちゃったんだよね。それにアーガス直販サイトでの予約販売台数が残り僅かって事もあったから、衝動買いっていう印象も少なからずあったんだよね。
だがしかし、それにしても12万8000円。されど12万8000円。その話題のゲーム同梱版だというのに12万8000円。
私のボーナスは、まだまだ有り余ったのであった。
それにしても、このゲームは仮想空間に入り込めるとの事。正直信じられない話だが、しかしそのゲームのβテスターは仮想空間に入り込んで謳歌したという。
フルダイブ……果たしてそれは、私を魅了してくれるものなのだろうか。
ダンボールの中には、その衆目を集めているゲームソフトが入っていた。
「………SAO…ソードアート・オンライン、か」
ソードというだけあって、刀剣に関するゲームなのだろう。
私はこのゲームに関する情報は、残念な事に持ち合わせていない。私が碌に調べていないという事もあるのだろうが、しかし調べてしまうとそのゲームの面白さが半減してしまうかもしれない。だから私は、こうやって何も分からずにいるのだ。いや、何も分からないは嘘になるだろう。このゲームがVRMMORPGって事は少なからず知っている。
仮想空間、仮想世界、仮想現実。
正式サービス開始は6日後の13時。
果たしてこのゲームは、私を楽しませてくれるのだろうか。
「……………………お?」
おや、部長から電話が。
私は電話に出た。
「お疲れ様で…………ええ?!」
愛知○鋼が爆発!? トヨタ傘下の全工場が停止!? 一週間休み!?
くそう、トヨタ生産方式なんて止めちまえぇ!!
予想外の出来事に、想定外の休日。
私を待ち構えるのは、暇だった。
やるべき書類作成は休日1日目で全て終わった。やるべき危険予知訓練シートの作成は全て終わった。まあKYTしたところで、愛知製鋼の爆発は防げ
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