第13話『眠れる獅子の目覚め〜舞い降りた銀閃』?
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こには、同じ存在ゆえに抱く憎悪しかなかった。
震えながら、気遣うように凱へ寄り添ったティナの顔を見やる。
「俺は……あの時」
ティナの目が見開かれる。
そうだ。
あれほどの嫌悪と憎悪を抱き、それをぶつけた相手。それは、自分と同じ存在のガヌロンだった。
そのおぞましさに、体が震える。
「死んだ……そうなるべきだった……なのに」
自分の腹部に、凱は手を当てる。今でこそ塞がれているが、まだガヌロンに風穴を開けられた感触は残っている。
瓦礫の炎に焼かれ、異端の烙印を押され、天鳴の雷に裁かれて、自分は死んだはずだった。
存在する罪という故に見合う償い方を知らない。自分の存在を否定して、贖罪を果たす。それが正しい結末だったはずだ。はずだったのに……
「ガイ……」
ティナの柔らかい手が、そっと凱の手のひらを包み込む。かすかに触れたその暖かさが、凱の涙を誘った。
痛い……体も……心も……
身体は、どこもかしこも痛い。
心は、まだ風穴があいたままだ。優しい言葉が吹けば、それだけで痛みに突き刺さる。
涙が、とめどなく溢れて、凱の瞳から溢れる滴は、ティナの手をぽたぽたと濡らしていく。
――なぜ貴様が勇者となったか、分かるか?――
――我々が、我々の理想世界の為に――
――貴様は罪を……犯した――
――人間の業……次元空間の革命を超越する為に、『永遠』を享受しようと、成り上がりと思い上がりの果てで、貴様の『存在』は使われた――
――これは……贖罪だ!――
――償え――
蛙の魔物ヴォジャノーイ
箒の魔女バーバ・ヤガー
白き悪鬼トルバラン
黒き巨竜ドレカヴァク
不死身のコシチェイ
革命家ハウスマン
そして……
世界の革命を、戦争を巻き起こして、生命という地上の在庫処分を行い、『人類転覆計画』の機を伺っている。
初代ハウスマンの書に記されし内容は、そう記されていた。
そして、その禍根となる中心が……
――もういい。もう……いいんだ――
食いしばった歯の隙間から漏れた声で、凱は小さくつぶやく。
「神様が与えてくれた力が……俺が……」
ふいに、ティナが静かな声で訪ねた。
「あなたは……『あなた』を殺そうとしたのですね……?」
凱は涙に曇る目を上げて、手に添え続ける美女に向ける。もし、ガヌロンとオステローデの交流を知るものがいたら、凱は罵倒されても仕方がないだろう。彼女は一公国の主で、ガヌロンはブリューヌを代表する大貴族なのだ。両者もまた『魔物』と『戦姫』という間柄を知りつつも、水面上では摩擦のない
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