第13話『眠れる獅子の目覚め〜舞い降りた銀閃』?
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――レイ・アドモス――大気薙ぎ払う極輝銀閃。すなわち、人の英知と竜の武具が合わさりし……正真正銘なる竜の『技』
凱の瞳と唇に、つい笑みが浮かんだ。
竜技たるレイ・アドモス……ボイスコマンドが二つもある。おそらく、黒竜の化身に依頼され、アリファールを創った竜具の刀鍛冶の誰かが、遊び心から名付けたのだろう。最強たる竜技の名に相応しく、最強の名が行き着く先は、やはり『レイ・アドモス』しかないと――
刀身を伝うように銀の燐光が、凱の全身を包み込む。凱は素早くアリファールの性能を関知しながら、独立交易都市にある『魔剣』と比較する。
魔剣が生み出す『風』の仕事量に比べ、竜具が操る『嵐』はそれの数倍……いや、数十倍に及ぶ。とても個人が操れる仕事量ではない。戦姫はこんなものをずっと振り回していたのか、そう思うと、心底彼女たちの凄さがうかがえる。凱は無意識に息を呑んだ。
これから自分が振るうべき竜の技は、それを越えなければならない。
銀閃アリファールは、ジスタートの国宝。建国神話より受け継がれていく戦姫の象徴。そして今、戦姫の果たせなかった責務を、勇者が果たさなければならない。その意味するところを、凱は理解していた。人が人でいられなくなる『代理契約戦争』のような、悲惨な戦争は輪廻してはならない。繰り返してはならない。
――過去も……現在も……未来も……変わらず勇者を信じる者達が……――
――勇者の助けを……待っている!!――
あらためて凱は、自分が託されたものの重みを実感しつつ、アリファールの刀身を抜き放つ。オステローデからブリューヌへ長距離飛翔するための推力を得るため、銀閃はしばらく予備駆動状態となる。やがて十分な推力を得て、銀閃の気体燃料が吹き始め、凱をまとう銀閃が草原の茂毛を弾き飛ばす。風の唸る音が鳴り響いた。
「……みんな」
凱はまっすぐ空へ……自分が向かうべき場所を見据える。
「無事でいてくれ」
凱より少し離れたところに立っていたティナが、風影の余波を浴びて、その美しい青みかかった黒い髪を抑えながら、微笑んで凱の旅立ちを見送る。上方の分厚い雲を銀閃の力で払い、次々と星が見えてくる。天空が凱を覗いた。
流星が生まれいでる空の海に向けて、凱は飛び出した。
「風影!!」
◇◇◇◇◇
「幸運を――」
伏竜は雲を得て昇竜となるように、凱もまた銀閃を得て流星となった。天高く飛び立った凱を見送って、気持ちを切り替える。
ジスタートで帰還の祈り言葉をつぶやいて、ティナは『自分ができる事』をする為に、行動を開始した。
呼び出した一
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