第13話『眠れる獅子の目覚め〜舞い降りた銀閃』?
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ガッツィ・ギャレオリア・ガード』の存在していた、同じ世界の違う時代が『今』だから、どのようにギャレオンが伝播されたのか、その地域によって呼び名や意識の在り方は様々だろう。
ティナは柔らかい眼差しを、凱に向けて、また無邪気な笑みを浮かべる。
「……でも、『ギャレオン』のほうが強そうでいいですね♪」
一時思案のあと、凱はティナに問う。
「ティナは……君は大丈夫か?」
落ち着いた口調だが、その時になって、ようやく凱は自体の真相が飲み込めてきた。
テナルディエがジスタートの戦姫を捕虜にしている以上、何かしらジスタートへ攻撃的接触をしてくるはずだ。戦姫として、オステローデに残らなければならないティナにも、当然混乱は国内へ飛び火する。
だが、ティナは儚げな笑みを浮かべながら、こう答えた。
「私も、私にできる戦いを致しましょう。勇者と共に……足掻いてみようと思います」
凱は理解した。ティナもまた、『影』から『光』へ転じて歩き出すという事を。
ジスタートの真の理想、国民国家の為に。
「じゃあ……行ってきます。ヴァレンティナ=グリンカ=エステス様」
あまりの感涙の為に、凱は思わず敬語を使ってしまった。
凱を信じて与えられたティナからの贈物と同じように、凱もまたティナを信じて受け取った。想いと共に――
アリファールも、戦姫でない凱を信じてその美しい刀身を預けようとしている。凱も意思のあるアリファールを信じて振るうだけだ。
「ええ。いってらっしゃいませ」
ドレスの裾をつまみ、最後にティナは優雅に一礼をした後、凱の後ろへ下がっていく。その姿を見送った凱は、静かにアリファールの握部を手にする。
(人と、人以外を区別するものは『身体』でもなく、『刀身』じゃなく『心』だ。竜具に意思があり、心があるなら、俺はアリファールをひとりの『人間』として信じる!)
その純粋で一途な暖かい思いに、銀閃は閃光で応える!
鍔に埋め込まれている紅い宝玉が別種の光を放つ。まるで電源の入った機体が駆動するかのように――
アリファールを手に取った凱の脳内に、それこそPCの立上時に実行されるメンテナンスコマンドのように、文章が次々と浮かび上がる。
――アリファール――銀閃。それがこの銀閃竜の『牙』。
――ヴェルニー――風影。それがこの銀閃竜の『翼』。
――メルティーオ――煌華。それがこの銀閃竜の『息』。
――コルティーオ――風華。それがこの銀閃竜の『角』。
――ウィンダム――烈風。それがこの銀閃竜の『蹄』。
――アウラ――風霊。それがこの銀閃竜の『鱗』。
――クサナギ――嵐薙。それがこの銀閃竜の『尾』。
――レイ・アドモス――大気ごと薙ぎ払え。それがこの銀閃竜の『爪』
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