第13話『眠れる獅子の目覚め〜舞い降りた銀閃』?
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)」としっかりメーカーまで記載されていた。
侍女たちを呼び出し、凱へ案内して着付けを行い、その姿を提供者に披露した。
「すごくかっこいいですよ。よくお似合いです」
年相応な賞賛の彼女の言葉が出てきて、凱はそっけない態度で「ありがと」と言った。
この黒い衣装も、とりわけ意味のないことではない。むしろ、積極的な『利点』を取り入れている意図さえ見える。
例えば、戦姫の衣装と竜具の装飾性。自ら指揮官の位置を敵に教えるような『目のやり場に困るような軍服』や『目をくぎ付けにする武装』など、戦場に置いては本来なら欠陥品の部類に入る。
しかし、それをあえて『積極的』に行うことで、ジスタートの戦姫は自軍の『損耗率』と『被発見率』を支配している。
損耗率の減少と被発見率の上昇。これは、『戦果は敵将の首が最も分かりやすい』という理屈を逆手にとって、あえて『我が目を疑う軍服』と『敵の目を引き付ける竜具』を身に着けている。これは、敵の攻撃を『一騎当千』の戦姫が積極的に引き受けることで、自軍への被害を抑制しようという思想にもとづいて、戦姫の衣装は設計されている。『異なる瞳色』を持つルヴーシュの戦姫は、その瞳を誤魔化す為に大胆なドレスを身に着けている。そのように心理的な面も考慮されている。
このような戦術思想が促された要因は、ジスタート王が戦姫の力を恐れるあまり、同じ戦姫同士で削ぎ合う事を仕向ける国風によるものだろう。
王の命令なら従う。だが、公国の為に、バレない程度で地味に抵抗するのは構わないはずだ。
そして、凱の衣装の場合も同様だ。白を基調とした『銀閃アリファール』を引き立たせて、『未知なる敵』の攻撃を一心に引き受けさせるためだ。もう、これ以上犠牲者を増やさない為に――
凱にとって、それは都合がよかった。
「ガイ。これも受け取ってください」
ティナの手のひらから、銀十字の首飾りを渡される。銀の素材を存分に使ったアクセサリーは、かすかな重量を感じさせる。
眺めていて、凱はふとアクセサリーの上部に疑問譜を浮かべる。
「……ギャレオン?」
鋭利な牙、そしてたてがみ。機械的ではあるが、生物的な面影を残している天宙の獅子。その額には6角形の緑の宝石が埋め込まれている。
「う〜ん?違いますね。これは伝説上の生物。百獣の『王』の名を冠する獅子王『リオレーフ』です。ブリューヌでは『レグヌス』と呼びます」
これもまた、あの時に教わったものだ。エレオノーラの公判が終了した際、ソフィーと二人きりで対談した時にそれとなく聞き出した。
眠れる獅子が動けば、時代も動きますわ。そういう獅子身中の貴女は何をする気かしらね。そんな、目線から火花散る会話をしれっと繰り返しながら――
ああ、そうか。と凱は思い立った。
『GGG―
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