第13話『眠れる獅子の目覚め〜舞い降りた銀閃』?
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「「アリ……ファール」」
二人は、同時に片翼の長剣の名つぶやいた。
◇◇◇◇◇
「これは……ライトメリッツの戦姫様が持っていた剣……」
闇の中なのに、強い輝きを放つ剣に対して、凱は鳥肌のたつ美しさを覚えた。
「建国神話より遣わされし、代々の戦姫が振るう超常の竜の武具、『銀閃アリファール』です。私の持つ『虚影エザンディス』と同じ竜具ですわ」
唖然と口を開いたままの凱に対し、ティナは無邪気に笑みを返す。以前、独立交易都市で酌み交わしたとき、ティナから若干竜具の事を聞きしていた。意思がある武具、という点においては、神剣アリアという予備知識があったので、驚きはしなかった。
「でも俺は戦姫じゃないぜ?なぜ……俺のところへ」
「分かりません……でも、感じているのではなくて?」
「どういうことだ?」
ティナにもそれは察していた。ゆえに、凱の前に銀閃が出現したことも、特に驚く必要はない。
ジスタートの誇る『戦姫』は『竜具によって選ばれる』に対し――
ジスタートの望む『勇者』は『竜具によって求められる』のだ。
しかし、躊躇いもある。ジスタートの国宝ともいえる武具ならば、本来なら極秘とされるはずだ。ただただ凱は圧倒されながら、ティナに尋ねる。
「俺でないと……アリファールは動かないのか?」
「そうですね。少なくとも、『今のあなた』には必要な『竜具』だと思います」
ティナは自分で言って、つい漏らし笑いをしそうになる。
『獅子の力』が『竜の技』と共闘する。
いがみ合う、相容れない伝説上の生物(ただし、竜は実在する)が、凱という肉体を借りて、時代の危機に立ち向かおうとしているのだから――
「心正しきあなただからこそ、アリファールはあなたを求めたのです。本当に戦うべき相手に、護りたいと思う場所へ向かう為に……この『銀閃』は必要なはず」
凱は再び銀閃に瞳を移す。そして、一言こういった。
「……ありがとう。ティナ。そして、アリファール」
自分を求めてくれたアリファールに対し、何より、自分の存在としっかり向き合ってくれたティナに対し、凱は託してくれた『すべて』に対して、感謝の意を示した。
もちろん、凱の身体を癒してくれた『夜と闇と死の女神』に対してもだ。
「これを……俺にくれるのか?ティナ」
黒を基調とした羽織着に、外候性の優れたズボンを、ティナからそれぞれ受け取った。その凱の姿は、「獅子に尊敬を抱く、機銃剣の傭兵」に見えなくもない。この服装も、独立交易都市で仕入れたのだろう。オビの裏にジスタートではない文字で「製造者;独立交易都市(ハウスマン
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